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生命保険の営業をしている相続財産再鑑定士から「相続対策として生命保険の提案をしたい」といったご相談をよくお受けします。
生命保険は、相続税の節税だけでなく、納税資金の準備や遺産分割対策にも活用できます。
しかし、効果的な提案には、相続財産の内容や相続人の状況を把握する必要があります。
生命保険の営業をしている相続財産再鑑定士は、税理士などの専門家と連携をすることで、より具体的な相続対策を提案できるようになります。
必要に応じて、一般社団法人相続財産再鑑定協会の理事長である税理士・佐藤和基が相続財産再鑑定士と同席して相談者の相談に乗ることもあります。
こちらのページでは、どのように生命保険の提案をしているのか?生前対策の手順と過去に生命保険を活用した事例をご紹介します。
※事例は個人情報の関係で、登場する相続人の人数や金額などを多少変えています。
相続財産再鑑定士について、詳しくは以下のページをご覧ください。(最終更新日令和8年11月6日)
相続対策として、いきなり生前贈与を実行したり、生命保険を活用して節税対策をしているケースがありますが、まずは現状分析をすることが大切です。
現状分析の具体的な内容は①相続税の簡易試算、②財産の構成比(流動性のある金融資産と固定資産の比率の把握)、③問題点と優先すべき対策の把握(節税対策、納税資金対策、遺産分割対策など)をします。
※最初は簡易的な相続税試算で良いですが、不動産が多く複雑な評価が必要な場合や自社株式があるようなケースでは、簡易的な試算と詳細な試算で大きく差が出てしまうケースもあります。財産の内容や財産規模の大きい方は、詳細な試算までした方が良いケースもあります。
現状分析をすることで、節税対策を優先するべきか、財産の大半が不動産の場合など、金融資産が少ない場合には、納税資金対策を優先するべきか、分けにくい財産の場合や推定相続人間の関係性が良好ではない場合には遺産分割対策を優先するべきか判断することができます。
逆に現状分析をした結果、相続税が発生しない見込みで、節税対策は不要であったというケースもあります。
問題点と対策の優先順位を把握できましたら、各種対策の実行を行います。
相続税の節税対策として、最も活用しやすい方法の1つに生命保険金等の非課税枠の利用があります。
生命保険金等はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、非課税枠があります。
生命保険金等の非課税金額は500万円×法定相続人の数で計算します。
例えば、法定相続人が3人の場合には、1,500万円が非課税になります。
注意点として、生命保険金等の非課税枠を使えるのは相続人となりますので、相続人以外の孫などを受取人にしてしまうと非課税枠を使うことができません。
生命保険金等の非課税枠について詳しく知りたい方は「生命保険を活用した相続税対策【非課税枠を徹底解説】」をご覧ください。
なお、生命保険金は生命保険契約の契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって、相続税ではなく所得税や贈与税の対象となる場合がありますので、その点は注意が必要です。
死亡保険金の課税関係について詳しく知りたい方は「死亡保険金の課税関係|相続税・所得税・贈与税の課税対象」をご覧ください。
相続対策の相談者の現状分析をした結果、節税の優先度が高く、かつ、非課税枠を使い切っていない場合には、非課税枠を活用するための生命保険をご提案させていただいています。
保険会社や保険商品によっても異なりますが、90歳程度までは告知なしでも入れる一時払終身保険などがありますので、比較的活用しやすい節税対策と言えるでしょう。
※詳しい保険商品については、生命保険会社にご確認ください。
【事例の紹介】
以前に相続財産再鑑定士と対応した相談者のケースでは、89歳の方で、推定相続人が5人、生命保険は全く入っていないという方でした。
預貯金は数億円ある方でしたので、非課税枠を活用するため、相続財産再鑑定士と共に死亡保障2,500万円の一時払終身保険を提案させていただきました。
また、一時払終身保険の提案をきっかけに、家族経営されている会社の保険の提案もさせていただきました。
生命保険金は節税対策だけでなく、納税資金対策としても有効に活用できます。
例えば、地主の相談者の場合、財産の大半が不動産で金融資産等の納税資金が不足しているケースがよくあります。
賃料収入の中から納税資金確保のために貯蓄している方もいますが、中には貯蓄ができておらず、納税資金が大きく不足している方もいます。
相続税は原則として、現金で一括納税となりますので、納税資金対策は重要です。
生命保険を活用することで、非課税枠を使いつつ、納税資金を貯めることにも繋がります。
【事例の紹介】
以前に相続財産再鑑定士と対応した相談者のケースでは、既契約の生命保険の内容が掛け捨てのタイプになっており、納税資金対策として適していなかったことから、生命保険契約の内容を見直ししたケースがあります。
相続税の試算額が約5,000万円でしたが、財産の大半が不動産で金融資産は1,000万円程度しかありませんでしたので、納税資金が大きく不足していました。
何も対策をせずに相続が発生してしまうと納税資金を確保するために不動産を売却しなければならないため、生命保険金で5,000万円の死亡保険金を確保を相続財産再鑑定士と共に提案させていただきました。
月々の生命保険料の支払いも小さくない額でしたが、賃貸物件の賃料収入の中からお支払いいただいて、納税資金を確保されました。
死亡保険金は、相続税法上はみなし相続財産として相続税の課税対象(非課税枠あり)となりますが、民法上の相続財産に該当しないため、受取人が遺産分割協議不要で保険会社に請求して受け取ることができます。
特に財産の大半が不動産や自社株式であるなど、分けにくいケースでは、代償分割に必要な資金の準備など、生命保険は重宝します。
また、原則として民法上の相続財産に該当しない点から、遺留分対策としても活用できます。
【事例の紹介】
以前に相続財産再鑑定士と対応した相談者のケースでは、推定相続人が長男と二男の2人のケースで、二男とは関係性が悪化していることから、全ての財産を長男に遺したいとのことでした。
全ての財産を長男に遺すための遺言書を作成済みでしたが、二男には遺留分があることから、4分の1は遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
そこで、生命保険金であれば、民法上の相続財産に該当しないことから、原則として遺留分の対象にはならない点と、遺留分侵害額の支払いに備えて、生命保険を活用する点をお伝えして、相続財産再鑑定士と共に生命保険のご提案させていただきました。
※他の相続人との間に著しい不公平が生じる場合は例外的に遺留分に含まれてしまう可能性があるため、遺留分対策として生命保険を活用される場合には、専門家に確認することをおすすめします。
相続税の節税対策を実行している方の中には、現金による生前贈与を活用又は検討をしている方が多くいらっしゃいます。
ただし、生前贈与を実行している相談者の方からは「無駄遣いをされないか心配」といったご相談もよく受けます。
特に孫に対する贈与など、受贈者が若いケースでは、心配されている方が多い印象です。
そのような方には、生前贈与をしたお金で貯蓄性のある生命保険の加入をおすすめします。
【事例の紹介】
以前に相続財産再鑑定士と対応したケースでは、生命保険金等の非課税枠を使い切っており、相続財産再鑑定士からは「生命保険の活用は難しいでしょうか?」とのことでした。
しかし、相談者は財産の大半が金融資産であったことと、孫に生前贈与をしたいとのご意向でしたが、孫はブランド物が好きなため、無駄遣いされてしまわないかが心配とのことでした。
そのため、生前贈与した資金を計画的に管理する方法として貯蓄タイプの生命保険を活用することをご提案させていただきました。
同様の「無駄遣いをされないか心配」といったご相談は他にもよく受けます。
相続税の申告を終えた方の中には、不動産の相続税評価額が適正だったのか分からない、相続税を払い過ぎていないか気になる、といった不安を抱えている方もいらっしゃいます。
また、不安を抱えていない方も相続税の申告書を見直ししたところ、相続税を払い過ぎていたケースもあります。
このような相談者に対して、相続税還付の可能性があることを情報発信することは、生命保険の営業担当者が相談者との信頼関係を築くきっかけになります。
過去に相続税の申告をした方でも、原則として亡くなってから5年10ヵ月以内であれば、土地の評価を見直すなど、申告書の内容を見直すことで、納めた相続税が還付される可能性があります。
※期限は相続税の申告期限10ヵ月以内と更正の請求の期限5年以内の合計ですが、各期限に土日祝日がある場合は数日前後するケースがあります。また、正しくは相続の開始があったことを知った日の翌日から期限のカウントをするため、必ずしも亡くなった日からのカウントにはなりませんので、正確な期限は税理士に確認が必要です。
実際に、相続税還付の相談をきっかけに相談者との関係が深まり、その後、生命保険の契約につながった事例もあります。
【事例の紹介】
以前に相続財産再鑑定士からの紹介で見直しをした方は、約1,500万円の還付に成功しました。
お金が戻ってきたことにとても喜んでいただき、二次相続対策として保険契約にも繋がりました。
また、別のケースでは、見直しをしたところ、還付の見込額が60万円と少なかったことから還付の手続きはしなかったのですが、相続税対策の保険を提案する機会に繋がったという事例もあります。
相続税還付は、見直しの結果、必ず還付されるわけではなく、還付にならないケースも多くありますが、生命保険の営業担当者が相談者と信頼関係を築くためのきっかけになることがあります。
相続財産再鑑定士の資格の活用事例について、詳しく知りたい方は「生命保険の営業マンにおすすめの資格」をご覧ください。
生命保険は相続対策に有効ですが、すべてのケースで対策になるわけではありません。
例えば、
・そもそも相続税が発生しない場合
・生命保険金の非課税枠を既に使い切っている場合
・契約形態によって所得税や贈与税の対象となる場合
・保険料負担が家計に過度な負担となる場合
などのケースでは生命保険を活用する必要性は低いと思います。
過去に相談に乗った事例の中にも、契約内容が相談者の希望や状況に全く合っていない生命保険契約を見たことがあります。
おそらく生命保険の営業担当者のご自身の営業成績だけを優先したのだと思いますが、相談者との信頼関係を失うことになってしまいますので、無意味な提案はしない方が良いでしょう。
生命保険は、相続税の節税対策や納税資金の準備、遺産分割対策など、さまざまな相続対策に活用できます。
しかし、相談者に適切な生命保険を提案するためには、保険の知識だけでなく、相続税や生命保険の課税関係、遺産分割の方法など、相続に関する幅広い知識も重要です。
相続財産再鑑定士の資格を取得することで、相続や相続税に関する基礎知識を身につけ、相談者の相続に関する悩みや課題を把握する力を養うことができます。
また、相続税の申告が終わっている方に対しても、相続税還付といった切り口でお話しすることができます。
ただし、相続財産再鑑定士は民間資格のため、独占業務はありません。
基本的には税理士などの専門家と連携をして活動していただくための資格になります。
資格取得によって期待できるメリットは、主に以下の3つです。
相続税対策を踏まえた生命保険の提案ができる
相続税専門の税理士と連携をして、相続税がどの程度発生するのか、どのような財産を保有しているのかを把握することで、相談者に必要な生命保険をより具体的に検討できるようになります。
例えば、相続税の納税資金が不足する可能性がある場合には、死亡保険金を納税資金として準備する方法を提案できます。
また、死亡保険金の非課税枠を活用した節税対策など、相談者の財産状況に応じた提案にもつながります。
相続に関する相談を受けるきっかけになる
相談者の中には、相続税がどの程度かかるのか分からない、不動産をどのように相続すればよいか悩んでいるなど、相続に関する問題を抱えている方も少なくありません。
相続財産再鑑定士の知識を身につけることで、生命保険の提案だけでなく、相続に関する相談を受けるきっかけをつくることができます。
保険の話だけでは接点を持ちにくかった相談者とも、相続という切り口から関係を築ける可能性があります。(中には名刺に相続財産再鑑定士の資格名を入れたところ、相続の相談を受けた方もいます)
税理士などの専門家につなぐ役割を担える
相続税の具体的な計算や税務判断などの税務相談は、有償か無償かを問わず税理士以外は行うことができません。
そのため、相続財産再鑑定士の資格を取得しても税務相談や法律相談に乗ることはできませんが、相続財産再鑑定士として相続の基礎知識を身につけることで、相談者が抱えている問題を把握し、必要に応じて税理士や弁護士等の専門家に相談するきっかけをつくることができます。
生命保険の営業担当者が相続の相談窓口となり、専門家と協力しながらお客様の相続対策をサポートできることは、大きな強みになるでしょう。
一般社団法人相続財産再鑑定協会(佐藤和基税理士事務所)では、相続税対策などの個別具体的な税務相談は、初回の1時間は相談料が11,000円(税込)になりますが、相続財産再鑑定士からご相談の場合、相談料は案件ごとに初回無料(原則として月に1回まで)となります。
ご相談いただける内容は相続税の生前対策、相続税の申告、相続税の還付請求など、相続税に関するご相談全般となります。(原則として税理士・佐藤和基が対応します。)
案件ごとに初回相談料が無料になりますので、生命保険の営業担当者など、複数の顧客に相続税対策の提案をしている方には有効にご活用いただけます。
※案件ごとの初回の相談料無料は、事務所にお越しいただける場合に限ります。
※相談件数が多くなりすぎる場合には、将来的に初回の相談料無料特典を廃止する可能性も考えられますが、その場合には、1年間の猶予期間を設ける等の対応を取らせていただきます。
相続税以外の相続に関するご相談については、弁護士、司法書士などの専門家のご紹介が可能です。(相談料の有無はご紹介する専門家によって異なります。)
士業に限らず、不動産会社、生命保険会社、遺品整理業者など、様々な専門家や会社の担当者をご紹介できます。
紹介可能な専門家などについて詳しく知りたい方は「一般社団法人相続財産再鑑定協会がお手伝い出来ることのご案内」をご覧ください。
相続対策は、相談者によって抱えている問題が異なります。
不動産を多く所有している方、相続税の納税資金に不安がある方、将来の遺産分割について悩んでいる方、節税をしたい方など、それぞれの状況に応じた対策を考える必要があります。
生命保険は、こうした相続の問題を解決するための有効な手段の一つです。
一方で、生命保険だけですべての相続問題に対応できるわけではありません。
税理士などの専門家と連携して、相続税の試算などで現状を把握し、複数の対策を組み合わせて検討することが大切です。
今回ご紹介した事例のように、相続税など相続に関する知識を踏まえて提案することで、生命保険の活用方法も広がります。
相談者から相続について相談されたときに、保険の話だけで終わらせず、相続全体を見渡して適切な専門家などの相談先や対策を案内できることは、これからの生命保険営業における大きな強みになるのではないでしょうか。
相続財産再鑑定士は、相続や相続税などの基本について学び、相続に関する相談に対応するための知識を身に付け、税理士などの専門家と連携をして活躍していただく資格です。
生命保険の営業活動に相続の知識を取り入れたい方や、相談者への提案の幅を広げたい方は、ぜひ資格取得をご検討ください。
一般社団法人相続財産再鑑定協会 代表理事
(佐藤和基税理士事務所 代表税理士 佐藤和基)
相続税専門の税理士法人出身。平成26年1月に相続税専門の税理士として開業。
「不動産の知識があれば相続税は取り戻せます」(2015年12月/住宅新報社)「税理士の失敗事例から学ぶ相続土地評価のポイント」(2018年2月/同友館)の著者。