不動産小口化商品を使って相続対策|生前贈与と組合せて圧縮

令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与から生前贈与加算の加算期間が3年から7年に延長されるため、生前贈与による節税方法について話題となっており、生前贈与の相談も増えています。
特に加算期間が7年に延長されることに対する対策を気にしている方が多いと思います。

回避方法としては、生前贈与加算の対象にならない孫などに対する贈与や相続時精算課税制度を活用する方法があります。
生前贈与加算の回避方法について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

ここでは、多額の贈与を検討している方向けに不動産小口化商品と生前贈与を組合せた節税について、具体的な金額や事例をご紹介して解説します。
不動産小口化商品について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

令和7年12月19日に令和8年度税制改正大綱が発表されました。
不動産小口化商品の評価方法も変更となりますので、改正による変更点と対策についても解説します。

1.不動産小口化商品の節税効果

不動産小口化商品は、特定の不動産を1口100万円など、小口化して販売する商品で、賃料収入等を所有口数に応じて出資者に分配する商品です。
不動産小口化商品を取り扱っている会社にもよりますが、最低出資金額を500万円又は1,000万円に設定してるところが多いです。
※会社によって異なるため、詳しくは不動産小口化商品を取り扱っている会社にご確認ください。(一般社団法人相続財産再鑑定協会からご紹介することも可能です。)

不動産小口化商品の相続税評価額については、小規模宅地等の特例を考慮する前でも20%から30%程度に圧縮されます。
例えば1,000万円分の不動産小口化商品を購入した場合は、相続税評価額が200万円から300万円程度になります。
仮に小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を適用する場合は50%の減額となりますので、100万円から150万円にまで圧縮されることになります。

一般的な不動産は土地の評価額が時価の80%程度、建物の評価額が時価の60%程度になりますが、不動産小口化商品の場合は、物件にもよりますが数百口単位で販売をされます。
そのため、1口当たりの持ち分面積は小さく計算されることから一般的な不動産と比較すると圧縮率が高くなります。

2.不動産小口化商品と生前贈与の組合せによる圧縮

上記1.不動産小口化商品の節税効果の通り、不動産小口化商品単体でも相続税の節税効果は高いですが、生前贈与と組合せることで、さら大きく節税をすることができます。
不動産小口化商品の相続税評価額の圧縮率は80%から低くても70%程度になるケースが多いと思いますので、圧縮率が80%の場合と70%の場合の2パターンで計算します。
なお、贈与税の税率は、直系尊属から18歳以上の者への贈与の場合とそれ以外の場合で異なるため、ここでは、直系尊属から18歳以上の者への贈与(つまり親から子に対する贈与や親から孫に対する贈与)と仮定して計算します。

不動産小口化商品の圧縮率が80%の場合の贈与税

  現金贈与 不動産小口化商品 節税金額
500万円贈与 485,000円 0円 485,000円
1,000万円贈与 1,770,000円 90,000円 1,680,000円
1,500万円贈与 3,660,000円 190,000円 3,470,000円
2,000万円贈与 5,855,000円 335,000円 5,520,000円
2,500万円贈与 8,105,000円 485,000円 7,620,000円
3,000万円贈与 10,355,000円 680,000円 9,675,000円

上記の表の通りですが、500万円を現金で贈与する場合は、贈与税の負担は485,000円となりますが、不動産小口化商品を購入して贈与する場合は、相続税評価額が100万円になることから、贈与税の基礎控除額110万円を下回ることになり贈与税負担はゼロになります。
金額が大きくなるほど贈与税の負担も大きくなるため、多額の贈与をする時は、不動産小口化商品を活用するメリットも大きくなります。

不動産小口化商品の圧縮率が70%の場合の贈与税

  現金贈与 不動産小口化商品 節税金額
500万円贈与 485,000円 40,000円 445,000円
1,000万円贈与 1,770,000円 190,000円 1,580,000円
1,500万円贈与 3,660,000円 410,000円 3,250,000円
2,000万円贈与 5,855,000円 680,000円 5,175,000円
2,500万円贈与 8,105,000円 1,020,000円 7,085,000円
3,000万円贈与 10,355,000円 1,470,000円 8,885,000円

圧縮が少ない分、圧縮率が80%の場合と比較すると節税金額も減りますが、それでも節税効果は高いと言えます。
※不動産小口化商品は運用期間の途中でも、持ち分の第三者への譲渡が可能です。
ただし、あからさまな節税目的で、贈与を受けた直後に売却をしてまう場合などは、評価方法を路線価方式ではなく、たな卸し資産として評価されてしまうなどのリスクも考えられます。

3.令和8年度税制改正大綱による変更点

不動産小口化商品のうち、任意組合型、賃貸型又は信託受益権型の貸付用不動産については、その取得の時期にかかわらず、相続開始時又は贈与時における通常の取引価格に相当する金額によって評価することになりました。
※賃貸型は実務上、ほとんどありませんので、以下賃貸型は割愛します。

この「通常の取引価格」とは、課税上の弊害がない限り、次の①、②又は③に掲げる価格等を参酌して求めた金額によって表します。
①出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格、買取価格等
②事業者等が把握している適正な売買実例価額
③定期報告書等に記載された不動産の価格等
ただし、上記①、②又は③に該当するものがないと認められる場合には、貸付用不動産の評価方法準じて取得価額をベースに80%で評価します。

この改正は令和9年1月1日以後に相続等により取得をする財産の評価に適用されます。

4.改正による規制の回避方法

不動産小口化商品のうち、任意組合型又は信託受益権型を購入している方については、相続開始や贈与のタイミングによって評価方法が異なることになります。
改正の適用時期が令和9年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与による取得になりますので、適用時期開始前の令和8年12月31日までに相続、遺贈又は贈与により取得することで、改正前の評価額による引継ぎが可能となります。

そのため、事前の対策としては、令和8年12月31日までに生前贈与する方法が考えられます。
生前贈与には暦年課税と相続時精算課税制度の2種類あります。

どちらを使った方が良いのかは、不動産小口化商品の購入金額の大小や贈与者の年齢等によっても異なりますので、生前贈与を実行する場合には、必ず相続税専門の税理士など、詳しい専門家に相談する必要があります。

また、これから不動産小口化商品の購入を検討している方についても考え方は同様です。
不動産小口化商品の購入後、令和8年12月31日までに生前贈与をすることで、「贈与時の時価」で評価をすることができます。
つまり「改正前の従来の評価方法」で評価をすることができます。

多額の贈与をする場合には、相続時精算課税制度を利用することで、大幅な節税も可能ですが、行き過ぎた節税(基本的には節税金額で億単位)については、財産評価基本通達6項による否認リスクがありますので、実行する場合には、必ず相続税専門の税理士に相談することをお勧めします。
※財産評価基本通達6項は「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定められています。
曖昧な表現のため、適用要件がわかりにくいですが、「行き過ぎた節税対策」に適用されます。

5.専門家への相談

一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所では、当事務所の紹介で不動産小口化商品を購入した方については、生前贈与をするべきか、生前贈与をする場合も暦年課税と相続時精算課税制度のどちらが良いのかシミュレーションを含めて無料対応させていただきます。

当事務所以外の税理士や金融機関の紹介で購入した方については、まずは紹介者に相談をすることをお勧めしますが、当事務所でも相談対応は可能です。

また、これから不動産小口化商品を活用した節税を検討している方についても、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
代表の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。
不動産小口化商品を扱う会社は13社と提携していますので、各社の商品を比較してご紹介可能ですし、生前贈与(暦年課税と相続時精算課税制度の判断含む)のシミュレーションや財産評価基本通達6項の否認リスクの有無など、アドバイスさせていただきます。

提携先が多いことで、不動産小口化商品に関する各種の最新情報(物件情報に限らず、税制改正等も含む各種の情報)が常に入ってきます。

令和8年度税制改正の内容を踏まえて、不動産小口化商品に関するご相談は初回の相談料を無料とさせていただきます。

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相続税の教科書(応用編)

  • 第1章.土地評価
  • 第2章.相続税還付
  • 第3章.生命保険
  • 第4章.相続手続
  • 第5章.生前対策
  • 第6章.相続と相続税
  • 第7章.山林等の処分
  • 第8章.不動産売却
  • 第9章.相続の統計情報
  • 第10章.税制改正大綱