不動産小口化商品を使って相続対策|生前贈与と組合せて圧縮

令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与から生前贈与加算の加算期間が3年から7年に延長されるため、生前贈与による節税方法について話題となっており、生前贈与の相談も増えています。
特に加算期間が7年に延長されることに対する対策を気にしている方が多いと思います。

回避方法としては、生前贈与加算の対象にならない孫などに対する贈与や相続時精算課税制度を活用する方法があります。
生前贈与加算の回避方法について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

ここでは、多額の贈与を検討している方向けに不動産小口化商品と生前贈与を組合せた節税について、具体的な金額や事例をご紹介して解説します。
不動産小口化商品について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

1.不動産小口化商品の節税効果

不動産小口化商品は、特定の不動産を1口100万円など、小口化して販売する商品で、賃料収入等を所有口数に応じて出資者に分配する商品です。
不動産小口化商品を取り扱っている会社にもよりますが、最低出資金額を500万円又は1,000万円に設定してるところが多いです。
※会社によって異なるため、詳しくは不動産小口化商品を取り扱っている会社にご確認ください。(一般社団法人相続財産再鑑定協会からご紹介することも可能です。)

不動産小口化商品の相続税評価額については、小規模宅地等の特例を考慮する前でも20%から30%程度に圧縮されます。
例えば1,000万円分の不動産小口化商品を購入した場合は、相続税評価額が200万円から300万円程度になります。
仮に小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を適用する場合は50%の減額となりますので、100万円から150万円にまで圧縮されることになります。

一般的な不動産は土地の評価額が時価の80%程度、建物の評価額が時価の60%程度になりますが、不動産小口化商品の場合は、物件にもよりますが数百口単位で販売をされます。
そのため、1口当たりの持ち分面積は小さく計算されることから一般的な不動産と比較すると圧縮率が高くなります。

2.不動産小口化商品と生前贈与の組合せによる圧縮

上記1.不動産小口化商品の節税効果の通り、不動産小口化商品単体でも相続税の節税効果は高いですが、生前贈与と組合せることで、さら大きく節税をすることができます。
不動産小口化商品の相続税評価額の圧縮率は80%から低くても70%程度になるケースが多いと思いますので、圧縮率が80%の場合と70%の場合の2パターンで計算します。
なお、贈与税の税率は、直系尊属から18歳以上の者への贈与の場合とそれ以外の場合で異なるため、ここでは、直系尊属から18歳以上の者への贈与(つまり親から子に対する贈与や親から孫に対する贈与)と仮定して計算します。

不動産小口化商品の圧縮率が80%の場合の贈与税

  現金贈与 不動産小口化商品 節税金額
500万円贈与 485,000円 0円 485,000円
1,000万円贈与 1,770,000円 90,000円 1,680,000円
1,500万円贈与 3,660,000円 190,000円 3,470,000円
2,000万円贈与 5,855,000円 335,000円 5,520,000円
2,500万円贈与 8,105,000円 485,000円 7,620,000円
3,000万円贈与 10,355,000円 680,000円 9,675,000円

上記の表の通りですが、500万円を現金で贈与する場合は、贈与税の負担は485,000円となりますが、不動産小口化商品を購入して贈与する場合は、相続税評価額が100万円になることから、贈与税の基礎控除額110万円を下回ることになり贈与税負担はゼロになります。
金額が大きくなるほど贈与税の負担も大きくなるため、多額の贈与をする時は、不動産小口化商品を活用するメリットも大きくなります。

不動産小口化商品の圧縮率が70%の場合の贈与税

  現金贈与 不動産小口化商品 節税金額
500万円贈与 485,000円 40,000円 445,000円
1,000万円贈与 1,770,000円 190,000円 1,580,000円
1,500万円贈与 3,660,000円 410,000円 3,250,000円
2,000万円贈与 5,855,000円 680,000円 5,175,000円
2,500万円贈与 8,105,000円 1,020,000円 7,085,000円
3,000万円贈与 10,355,000円 1,470,000円 8,885,000円

圧縮が少ない分、圧縮率が80%の場合と比較すると節税金額も減りますが、それでも節税効果は高いと言えます。
※不動産小口化商品は運用期間の途中でも、持ち分の第三者への譲渡が可能です。
ただし、あからさまな節税目的で、贈与を受けた直後に売却をしてまう場合などは、評価方法を路線価方式ではなく、たな卸し資産として評価されてしまうなどのリスクも考えられます。

3.専門家への相談

不動産小口化商品等について相談したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。不動産小口化商品を活用した相続対策のご相談については、不動産特定共同事業者(10社以上を比較してご案内)のご紹介が可能です。不動産小口化商品以外についても、相続に関する相談をお受けしています。

また、納税者に損をさせない申告を信念に、これから相続税申告業務に参入される税理士向けに相続税実務研修(通信講座Web視聴)を販売しております。
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