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<目次>
1.周知の埋蔵文化財包蔵地とは
2.周知の埋蔵文化財包蔵地に対する規制
3.周知の埋蔵文化財包蔵地の調査方法
4.周知の埋蔵文化財包蔵地の評価
5.発掘調査費用の確認方法
6.相続税還付の相談
7.周知の埋蔵文化財包蔵地の評価根拠
埋蔵文化財包蔵地は、貝塚、古墳、城跡、石器、土器などの文化財が地中に埋もれているのが判明している土地のことです。
このように一般に知れわたっている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。
なお、文化財保護法第95条において「国及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備その他その周知の徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。」と定められています。
周知の埋蔵文化財包蔵地に対しては、下記のような規制があります。
〇調査のための発掘に関する届出、指示及び命令
埋蔵文化財について、その調査のために土地を発掘しようとする者は、発掘に着手しようとする日の30日前までに文化庁長官に届け出なければなりません。
この場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、発掘に関し必要な事項及び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止若しくは中止を命ずることができます。(文化財保護法第92条)
〇土木工事等のための発掘に関する届出及び指示
土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合には、「30日前」ではなく「60日前」でに文化庁長官に届け出なければなりません。
この場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施その他の必要な事項を指示することができます。(文化財保護法第93条)
〇遺跡の発見に関する届出、停止命令等
土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝塚、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、埋蔵文化財について、その調査のために土地を発掘して発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、その旨を文化庁長官に届け出なければなりません。
ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げません。
文化庁長官は、届出があつた場合において、その届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者又は占有者に対し、3ヶ月を限度として、その現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止を命ずることができます。(文化財保護法第96条)
周知の埋蔵文化財包蔵地かどうか、役所の教育委員会で遺跡地図等を閲覧して確認できます。
役所によってはHPからも遺跡地図等を確認できます。
例えば東京都の場合には、東京都遺跡地図情報インターネット提供サービスで確認できます。
周知の埋蔵文化財包蔵地の評価額は下記の算式により評価することになります。
【算式】
埋蔵文化財包蔵地の評価額=埋蔵文化財包蔵地でないものとした場合の評価額-発掘調査費用に相当する金額
発掘調査費用に相当する金額は、相続税評価水準の80%との整合性を図るため、発掘調査費用見積額の80%相当額を控除することになります。
なお、路線価に「埋蔵文化財包蔵地であることの減額」が織り込まれている場合には、発掘調査費用に相当する金額を控除することはできません。
ただし、路線価に「埋蔵文化財包蔵地であることの減額」が織り込まれているケースはほとんどないと思いますので、念のため周辺の路線価と比較して同水準であれば織り込まれていないと思われます。
周知の埋蔵文化財包蔵地に該当する場合、いきなり発掘は行いません。
まずは、試しに掘る「試掘」を行ってから本格的な発掘をする必要があるかどうか判断されます。
そのため、実際の見積には試掘調査を行って、本調査の必要がある場合に発掘調査費用の見積が可能となります。
しかし、現実に建物建築や開発の計画がないにもかかわらず、試掘調査だけを依頼することはできません。
そのため、実務上は業者に付近の発掘履歴や過去の発掘調査費用から類推して見積書を作成してもらうことになります。
役所でも発掘調査費用の相場を参考程度に教えてもらえることもありますので、税額への影響が少ない場合は相場から計算した概算額で評価をすることも検討します。
また、発掘調査費用の確認が難しい場合には、利用価値が著しく低下している宅地として10%の減額を検討しても良いでしょう。
周知の埋蔵文化財包蔵地について、埋蔵文化財包蔵地であることによる評価減をせずに高い評価で相続税の申告をしてしまっている場合でも、亡くなってから5年10ヶ月以内であれば申告内容を修正することが可能です。払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。
相続税の金額が適切であったか確認したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。周知の埋蔵文化財包蔵地以外の項目についても適切であったか、相続税申告書の内容を無料で診断します。
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周知の埋蔵文化財包蔵地の評価方法は財産評価基本通達では定められていません。
評価根拠は下記の判例などになります。
国税不服審判所平成20年9月25日裁決(裁決事例集No.76・307頁)