無道路地の評価方法

1.無道路地とは

無道路地とは一般に道路に接してない宅地をいいます。具体的には建築基準法等の接道義務を満たしていない場合に無道路となります。この接道義務を満たさない場合には建物を建築することができなくなります。

そのため、無道路地は①道路に全く接していない宅地と②道路に接しているが、接道義務を満たしていない宅地の2パターンが考えられます。

2.接道義務とは

接道義務とは建物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離のことです。都市計画区域内及び準都市計画区域内では、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定められています。
※都市計画区域及び準都市計画区域以外の場合は、無道路という概念がありません。

なお、この接道義務は、都道府県、市町村等の条例で独自に規定されている場合があります。例えば東京都の場合は下記の通りです。

〇敷地の路地状部分の長さ 20メートル以下のもの 2メートル以上
〇敷地の路地状部分の長さ 20メートルをこえるもの 3メートル以上

無道路地イコール接道義務2メートルと固定概念を持ってしまうと、評価を誤ってしまうため、接道義務については、条例の確認が必要になります。

3.無道路地の調査方法

無道路地の調査方法は、接道義務と建築基準法の道路の2つを調べる必要があります。接道義務については、評価対象地の地域の条例で確認します。

建築基準法の道路については、役所の建築指導課等で確認できます。窓口に行く場合には住宅地図等を持参して、評価対象地が建築基準法の道路に接道しているか確認します。
※役所によってはHPから道路種別を確認できます。

道路に接道している宅地の場合でも、その道路が建築基準法の道路に該当しないケースもありますので、注意が必要です。

4.無道路地の評価方法

無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき不整形地の定めによって評価した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認められる金額を控除して評価します。

この100分の40の範囲内において相当と認められる金額は、無道路地について建築基準法その他の法令において規定されている接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額とされています。

ただし、評価対象地が無道路の場合でも、建築基準法上の道路まで被相続人等が所有している土地を通れる場合は無道路地の評価減(通路開設費用の控除)を行いません。

5.建築基準法の道路ではないところに路線価が設定されている場合

路線価方式の土地を評価する際に、建築基準法上の道路ではないところに路線価が設定されていることがあります。この場合に、建築基準法上の道路ではないところに路線価を設定することは適正なのか、検討してみたいと思います。

まず、財産評価基本通達14の路線価の定義では建築基準法上の道路であることは要件として明記されていません。「不特定多数の者の通行の用に供されている道路」としか要件として明記されていないのです。

つまり、下記のような事実は路線価の設定にあたって考慮する必要はないと解釈することができます。

〇公道であるか私道であるかの区分
〇道路法上の道路か否かの区分
〇建築基準法上の道路であるか否かの区分

ただし、路線価方式の大前提として、「宅地」の評価を前提としています。
※参考に財産評価基本通達13(路線価方式)を要約して抜粋します。

【財産評価基本通達13の要約】
路線価方式とは、その宅地の面する路線に付された路線価を基とし、一定の定めにより計算した金額によって評価する方式をいう。

「その宅地の面する」と定められていることからも宅地の評価を前提にしていることは明らかです。また、「宅地」の定義ですが不動産登記事務取扱手続準則第68条3号によると下記のように定められています。

【不動産登記事務取扱手続準則第68条3号】
建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地。

つまり、建物が建てられる土地になります。建物を建てられる土地(宅地)の評価を想定している路線価のはずなのに、建物を建てられない道路(建築基準法上の道路ではない)に路線価が設定されている状態は適切であるとはいえません。

評価対象地の接する通路(建築基準法上の道路ではない)に路線価が付されている場合には、無道路地としての評価は行えませんが、建築不可である点が路線価に織り込まれているかどうか確認し個別に評価の判断をすることになります。

6.相続税還付の相談

無道路地の宅地について、無道路地である評価減をせずに高い評価で相続税の申告をしてしまっている場合でも、亡くなってから5年10ヶ月以内であれば申告内容を修正することが可能です。払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。

相続税の金額が適切であったか確認したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。無道路地以外の項目についても適切であったか、相続税申告書の内容を無料で診断します。

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7.無道路地の評価根拠

無道路地の評価の根拠は財産評価基本通達20-3となります。

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