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<目次>
1.地積規模の大きな宅地とは
2.地区区分の要件
3.地積の要件
4.市街化調整区域の適用除外
5.工業専用地域の適用除外
6.指定容積率の要件
7.非線引き都市計画区域等に所在する宅地
8.地積規模の大きな宅地の評価方法
9.相続税還付の相談
10.地積規模の大きな宅地の評価根拠
地積規模の大きな宅地は、戸建住宅用地として区画分譲する場合に発生する減価を反映させることを趣旨とするものです。そのため、戸建住宅用地としての区画分譲が法的に可能で、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的な地域に所在する宅地が対象となります。
路線価区域については、土地の地区区分が普通住宅地区、もしくは普通商業・併用住宅地区に該当する必要があります。地区区分については路線価図で確認することができます。
理由としては、こちらの地域は指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域を除けば、戸建住宅用地として利用されることが標準的と考えられるため、戸建住宅用地として区画分譲する場合に発生する減価を反映される必要があるためです。
倍率地域については、大規模工場用地以外が対象となります。理由としては、大規模工場用地は、大規模な工場用地として利用されることが標準的であり、戸建住宅用地として区画分譲されることが標準的とは言えないためです。
地積基準は三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上となります。三大都市圏の具体的な範囲は以下のチェックシートに記載されています。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であり、原則として宅地開発を行うことができない地域となります。そのため、戸建住宅用地としての区画分譲に伴い発生する減価はなく、原則として地積規模の大きな宅地に該当しないことになります。
ただし、市街化調整区域の土地であっても、都市計画法第34条第10号又は第11号(条例指定区域)の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域については、戸建住宅用地として区画分譲が法的に可能であることから、これらの区域内に所在する宅地について、地積規模を満たす場合には地積規模の大きな宅地に該当します。
都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域は、工場の利便を増進する地域であり、この地域内においては、原則として、工業系の用途となじまない用途の建築物の建築が禁止され、住宅の建築はできないこととされています。
そのため、工業専用地域に所在する宅地については、地積規模が大きくても、基本的に戸建住宅用地としての区画分譲に伴い発生する減価はないことから、地積規模の大きな宅地に該当しないことになります。
指定容積率が400%(東京都の特別区域においては300%)以上の地域に所在する宅地については、マンション敷地等として一体的に利用されることが標準的であり、戸建住宅用地としての区画分譲は標準的ではないことから、地積規模の大きな宅地に該当しないことになります。
なお、指定容積率の異なる2以上の地域にわたる場合には、各地域の指定容積率に、その宅地のその地域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じたものの合計により容積率を判断することになります。
非線引き都市計画区域(市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)がされていない都市計画区域)や準都市計画区域、都市計画区域外に所在する宅地であっても、要件を満たせば地積規模の大きな宅地に該当します。
地積規模の大きな宅地は、以下の算式で計算します。
路線価×各種補正率×規模格差補正率×土地面積=地積規模の大きな宅地の評価額
規模格差補正率は、以下の算式で計算します。
規模格差補正率=(地積規模の大きな宅地の地積×B+C)÷地積規模の大きな宅地の地積×0.8
※小数点以下第2位未満切捨
上の算式中の「B」及び「C」は地積規模の大きな宅地が所在する地域に応じ、それぞれ次に掲げる表のとおりとします。
地積 | B | C |
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500㎡以上〜1,000㎡未満 | 0.95 | 25 |
1,000㎡以上〜3,000㎡未満 | 0.90 | 75 |
3,000㎡以上〜5,000㎡未満 | 0.85 | 225 |
5,000㎡以上 | 0.80 | 475 |
地積 | B | C |
---|---|---|
1,000㎡以上〜3,000㎡未満 | 0.90 | 100 |
3,000㎡以上〜5,000㎡未満 | 0.85 | 250 |
5,000㎡以上 | 0.80 | 500 |
地積規模の大きな宅地の評価について、地積規模の大きな宅地の評価減をせずに高い評価で相続税の申告をしてしまっている場合でも、亡くなってから5年10ヶ月以内であれば申告内容を修正することが可能です。払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。
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地積規模の大きな宅地の評価根拠は財産評価基本通達20-2となります。