墓地周辺の宅地の評価減

1.墓地周辺にある土地

評価対象地が墓地周辺にあるなどして、取引金額に影響を受ける場合には、利用価値が著しく低下している宅地として評価減をすることができます。

ただし、墓地周辺にあるからといって必ずしも評価減が認められるわけではありません。

墓地周辺による評価減が認められるかどうかは、路線価に織り込み済みか否か、墓地の規模(認知度)などから判断します。

2.路線価に織り込み済みか否か

墓地周辺による評価減が路線価に織り込み済みか否かは、路線価図を見て確認します。

具体的には、墓地周辺の路線価(墓地の正面又は見える範囲内の路線価)が、墓地から離れたところの路線価と比較して低いようでしたら、路線価に墓地周辺による評価減が織り込み済みであるといえます。

逆に、墓地周辺と離れたところで路線価が同じであれば、路線価に、墓地周辺による減額が織り込まれていないといえます。

3.墓地の規模

評価減の対象となる墓地のポイントは周辺の住民が墓地として認識している規模のものかどうかによると思われます。

例えば小規模な無縁仏のお墓や、敷地内にあるご先祖のお墓で親族しか認知していないようなものは評価減の対象にはならないと思います。

特にご先祖のお墓は所有者の意向で別の場所に移すこともできると思いますので、評価減をする根拠としては弱いでしょう。

そのため、客観的に見て墓地といえる程度の規模は必要だと思われます。

4.墓地からどのくらい離れても大丈夫か?

客観的に見て墓地といえる程度の規模で、かつ、路線価に織り込まれていない場合には、評価減の対象になってくると思いますが、どの程度の近さである必要があるのか検討が必要です。

まずは、両隣や裏側など評価対象地と隣接している場合には基本的に評価減できると思われます。また、隣接していない場合でも道路の向かい側など真正面に墓地がある場合も評価減が認められる可能性があります。

※評価対象地に隣接していないと評価減は認められないという説も聞いたことがありますが、当事務所では道路の向かいに墓地がある事例(評価対象地に隣接していない)でも更正の請求(相続税還付)が認められて還付を受けたことがあります。

問題なのは少し離れている場合の判断基準です。明確な基準はありませんが、評価対象地から視界に入る程度の近さであれば、評価減できる可能性があると思います。

例えば2軒から3軒隣くらいになると思いますが、評価対象地から写真を撮って、明確に墓地があると分かるような状態であれば、根拠資料として添付するのが良いと思います。

5.墓地の確認方法

墓地の有無は現地調査をすることで確認することができますが、例えば評価地の裏側に墓地があって、正面の道路からは見えにくい場合もあります。

見えにくいところに評価減要素がある場合もありますので、晴れ又は曇りの日の日中に現地調査をして、見えにくいところこそ、念入りに見に行くようにしましょう。

また、住宅地図でも墓地の有無は確認できます。現地調査をする前に住宅地図で墓地の有無を確認しておくことで、現地調査の際の見落としを防ぐことができます。

6.墓地周辺の評価減

評価対象地が墓地の周辺にあることにより、利用価値が著しく低下していると認められる場合には、10%評価減を行います。

7.相続税還付の相談

墓地の周辺にある宅地について、墓地周辺による評価減をせずに高い評価で相続税の申告をしてしまっている場合でも、亡くなってから5年10ヶ月以内であれば申告内容を修正することが可能です。払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。

相続税の金額が適切であったか確認したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。墓地周辺にある宅地以外の項目についても適切であったか、相続税申告書の内容を無料で診断します。

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8.墓地周辺にある宅地の評価根拠

墓地周辺にある宅地の評価方法は財産評価基本通達では定められていません。そのため、根拠は国税庁のタックスアンサーNo.4617利用価値が著しく低下している宅地の評価となります。

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相続のノウハウ

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