所有者不明土地のみなす所有者課税(山林引き取りサービスの活用)

現在、少子高齢化等に伴う土地活用ニーズの低下等を背景に、公簿情報等を調査しても所有者の把握が難しい「所有者不明土地」が全国的に増加しています。平成28年時点で、全国の所有者不明土地の面積は九州本島を上回る約410万haと推計されています。今後、高齢化の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化するおそれがあり、その解決は喫緊の課題とされています。ここでは、所有者不明土地とみなす所有者課税について説明します。

1.所有者不明土地とは

所有者不明土地とは、相続登記がされないこと等により、下記のいずれかの状態となっている土地のことをいいます。

〇不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
〇所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地

我が国では、人口減少、少子高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都心部への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等から、所有者不明土地が全国的に増加しています。

2.固定資産税の原則

固定資産税は所有者課税が原則となっています。この「所有者」は土地・家屋について登記簿又は土地(家屋)補充台帳に、それぞれ所有者として登記又は登録されている者をいいます。固定資産税については、各市町村は固定資産税課税台帳を備えなければならず、固定資産税は固定資産税課税台帳に登録された所有者に課税することを原則としています。

3.固定資産税のみなす所有者課税(所有者課税の例外)

固定資産税の所有者課税の原則を貫いた場合、固定資産の所有者が災害等によって不明な場合等は極めて不合理になります。そのため、このような時には、固定資産の使用者等を所有者とみなして課税することで税負担の合理化が図られています。なお、みなす所有者に対する課税としては下記のものがあります。

〇災害等(震災、風水害、火災等)によって所有者の所在が不明な場合
〇一定の調査を尽くしても、なお、固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合
〇国が買収・収納した農地等
〇土地区画整理事業又は土地改良事業の施工に係る土地
〇公有水面埋立地等

4.一定の調査を尽くしても固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合

一定の調査を尽くしても固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、その固定資産の使用者を所有者とみなして課税されることになりますが、ここでいう「一定の調査」とは下記のものをいいます。

〇住民基本台帳及び戸籍等の公簿上の調査
〇使用者と思われる者やその他の関係者への質問

なお、みなし所有者を固定資産税課税台帳に登録する場合には、その旨をその使用者に通知します。※令和3年度以降分の固定資産税について適用されています。

5.現に所有している者の申告の制度化

市町村長は、その市町村内の土地・家屋について、市町村の条例で定めるところにより、登記簿上の所有者が死亡した場合、相続人等の土地・建物を現に所有している者に対して、氏名・住所等の必要な事項を申告させることができます。なお、固定資産税の他の申告制度と同様に罰則規定が設けられています。

6.所有者不明土地の解消に向けて(相続登記の申請の義務化)

相続が発生しているにも関わらず相続登記がされない原因として、下記のものがありました。

①相続登記の申請は任意で、かつ、申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかった。
②相続した土地の価値が乏しく、売却も困難である場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をしない。

以上の理由により登記されていませんでしたが、令和6年4月1日以降から相続登記の申請を義務化することで、所有者不明土地の発生を予防しようとしています。

7.不要な不動産の処分(山林引き取りサービスの活用等)

所有者不明土地に対する固定資産税の課税や相続登記の申請の義務化等により、価値のない不動産の所有者は負担が大きくなってしまいます。そのため、価値のない山林、原野、別荘地を所有している方は早めに手放した方が良いでしょう。なお、不要な不動産を手放す方法としては下記のものが考えられます。

売却

売却が可能である場合には、買主を見つけて売却するのが良いですが、買い手を見つけるのは非常に困難です。不動産会社に相談をしても積極的に取り組んでもらえないでしょう。

寄付

売却が困難である場合には寄付を検討しますが、こちらもやはり寄付を受け付けてくれる引き取り主を見つけるのが非常に困難です。市区町村などに相談をしても、活用の見込みがない山林などは基本的には寄付を受け付けてもらえません。

相続放棄

不要な不動産の所有権を放棄することはできませんが、所有者が亡くなり相続人が相続放棄をした場合には、相続人は不要な不動産の相続をしなくて済みます。ただし、相続放棄は一部だけの放棄は認められず、全ての相続財産を放棄することになります。

相続土地国庫帰属制度の活用

相続等によって土地の所有権を相続した相続人が、法務大臣(窓口は法務局)の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。施行日は令和5年4月27日となります。手続きにかかる費用は今後政令で定められていくと思いますが、申請時に審査手数料を納付し、国庫への帰属について承認を受けた場合には負担金を納付することになるようです。

また、引き取り可能な土地は限られており、通常の管理又は処分をするに当たって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となるようです。対象外となる主な例は下記のものがあります。

・建物、工作物、車両等がある土地
・土壌汚染や埋設物がある土地
・危険な崖がある土地
・境界が明らかでない土地
・担保権などの権利が設定されている土地
・通路など他人による使用が予定される土地

山林引き取りサービスの活用

一般社団法人相続財産再鑑定協会では、山林等を専門に扱う不動産会社と提携しています。山林引き取りサービスは引き取り費用をお支払いいただくサービスですが、基本的にはどのような不動産でも処分可能です。
※地目は山林以外でも対応可能です。
※相続土地国庫帰属制度が引き取り不可能な物件も対応可能です。

8.専門家への相談

不要な不動産の相続等について相談したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。不要な不動産の処分については、山林引き取りサービスの活用をご検討ください。お見積りまでは無料となります。
※地目は山林以外も対応可能です。
※不要な不動産の処分以外についても相続に関する相談をお受けしています。

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