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<目次>
1.市街地山林の評価方法
2.宅地への転用が見込めない市街地山林
3.物理的観点(急傾斜地)から宅地への転用が見込めない場合
4.経済的合理性から宅地への転用が見込めない場合
5.市街地原野の場合
6.市街化区域の純山林の評価方法
7.相続税還付の相談
8.相続土地国庫帰属制度の活用
9.市街地山林の評価根拠
10.市街地原野の評価根拠
市街化区域の山林(市街地山林)については、原則として宅地比準方式で評価することになります。
宅地比準方式とは、その山林が宅地であるとした場合の価額からその山林を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいいます。
なお、造成費に相当する金額は国税庁の財産評価基準書の宅地造成費の金額表から確認できます。(HPから確認できます。)
市街化区域の山林(市街地山林)については、原則として宅地比準方式で評価することになりますが、宅地への転用が見込めないような山林については、純山林として評価することになります。
この点については財産評価基本通達49の「なお」書き以降に規定されていますので参考に一部抜粋します。
【財産評価基本通達49の「なお」書き以降を一部抜粋】
なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。
市街地山林について、純山林として評価する場合の要件を簡潔にまとめると次の通りになります。
①急傾斜地であるために宅地造成が不可能である。(物理的観点)
②宅地比準方式の評価額が純山林としての評価額を下回る場合(経済的合理性)
物理的観点の急傾斜地についての判断基準は、原則として傾斜度が30度以上か否かで判断します。
また、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域等に指定されている場合には、傾斜度が30度以上であるため、物理的に造成が不可能であると判断できます。
なお、平成14年6月27日の裁決事例では、傾斜度が28度の市街化農地について、宅地への転用が困難と判断されています。そのため、傾斜度が30度未満であっても純山林として評価できる可能性は否定できません。
補足ですが、この裁決事例では頂上近辺に高圧電線用鉄塔があり、これに関する地役権が設定されていますが、本件土地を畑として使用する場合には、その使用上の制約を受けないとして、これによる減価は斟酌されていません。
純山林も同様に、高圧線下であったとしても純山林として評価する場合には、高圧線下による評価減は適用できないと思われます。
経済的合理性による宅地比準方式の評価額が純山林としての評価額を下回る場合ですが、算式で表すと下記のとおりになります。
【算式】
A(宅地比準方式の評価) < B(純山林として評価)
A=(その市街地山林が宅地である場合の1㎡当たりの価額-1㎡当たりの宅地造成費の金額)×山林の地積
B=近隣の純山林の価額に比準して評価した価額
つまり、分かりやすくいうと「宅地化して儲かるか」という視点で判断します。
宅地造成費を投下しても、宅地価額から宅地造成費を控除して純山林価額を下回るのであれば、宅地化するメリットがなく、経済的合理性に欠けることになりますので、現状維持(純山林)が良いという結論に至ることから純山林評価をすることになります。
市街化区域の原野(市街地原野)については、原則として宅地比準方式で評価することになります。
なお、市街地原野については、宅地への転用が見込めないような場合の取扱いが財産評価基本通達では明記されていませんが、市街地山林と同様に評価することができます。
※平成16年6月29日付の『「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)』(資産評価企画官情報第2号)において、宅地への転用が見込めない場合の原野の評価方法について解説されていました。
つまり、物理的観点または経済的合理性から宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その原野の価額は、近隣の純原野の価額に比準して評価することになります。
倍率地域の純山林の場合には、固定資産税評価額に倍率を乗じて評価することができますが、市街化区域の山林(つまり路線価地域の山林)について純山林評価をする場合には、近隣の純山林の価額に比準して評価します。
この近隣の純山林の価額は、評価対象地から距離的に最も近い純山林の価額を基礎に計算することになります。なお、最も近い純山林の価額は所轄税務署で教えてもらえます。市街化区域の純原野についても同様に評価します。
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市街地山林の評価の根拠は財産評価基本通達49となります。
市街地原野の評価の根拠は財産評価基本通達58-3となります。