別荘の維持費や固定資産税などの負担から解放される方法

土地価格が上がり続けていたバブル時代に、投資目的で別荘を購入した方は多いと思いますが、今では値段も付きにくく、所有をしているだけでも維持費や固定資産税などの負担が発生しています。

ここでは、別荘の維持費や固定資産税などの負担をなくす方法について解説します。

1.別荘の維持費

別荘として管理されている別荘地の場合には、管理会社に管理費を支払う必要があります。
管理会社によって管理費は様々ですが、土地だけの場合と建物がある場合では管理費にも差がでます。

他にも水道光熱費や火災保険料などの負担も発生します。
また、台風などの自然災害により木が倒れてしまったり、設備が故障してしまうなどで、余計な費用が発生してしまうケースもあります。

2.別荘にかかる税金

〇固定資産税・都市計画税

1月1日時点で不動産を所有している場合には、固定資産税を納める必要があります。
固定資産税は課税標準額に対して1.4%課税され、毎年5月頃に市区町村から納税通知書が送られてきます。
また、別荘が都市計画区域内にある場合には、都市計画税も課税されます。(最高0.3%)
この場合は、固定資産税と都市計画税がまとめられて納税通知書が届きます。

〇住民税

住民税は前年分の所得に応じて計算する「所得割」と、住民に一律に一定の金額を課税する「均等割」があります。
別荘は住民票のない市町村に所有しているケースが多いと思いますので、別荘にかかる住民税は基本的には「均等割」のみになると思います。

〇相続税

別荘の所有者が亡くなった場合には、相続人が別荘を相続することになります。
被相続人の財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下の場合には相続税は発生しませんが、基礎控除額を上回る場合には相続税が課税されます。
別荘も相続財産に含まれ、評価方法は下記の通りです。

建物
固定資産税評価額×1.0

土地
【路線価方式の場合】
路線価×各種補正率×地積

【倍率方式の場合】
固定資産税評価額×評価倍率

 

3.別荘の売却、寄付

別荘を手放したい場合には、まずは売却を検討します。
別荘地の近くの不動産会社等に問合せをして売却可能かどうか相談をすることになると思いますが、一般的には別荘地の売買に積極的な不動産会社は少なく、長期化するケースが多々あります。

売却が難しい場合には、市区町村などに寄付ができないか相談をします。
市区町村で活用できる見込みがある場合には寄付を受け付けてもらえる可能性があります。
ただし、活用の見込みがない場合には、寄付を受け付けてもらえません。

別荘の売却も寄付もできない場合には、相続土地国庫帰属制度の活用又は山林引取サービスの活用をお勧めします。

4.相続土地国庫帰属制度の活用

相続土地国庫帰属制度は、相続等により取得した不要な土地で、一定の要件を満たす場合には国に引き取ってもらえる制度となります。
相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

相続土地国庫帰属制度の要件|山林や農地の適用可否

相続土地国庫帰属制度は要件を満たす場合には、審査手数料と負担金の費用が発生しますが、国に引き取ってもらうことで、山林にかかる税金の負担などから解放されます。
ただし、引き取りの条件が厳しく残念ながら活用できないケースも一定数生じてしまいます。
特に別荘の場合は、建物があると相続土地国庫帰属制度は利用できません。
そのような方には一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所が提供している山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

5.山林引き取りサービスの活用

山林引き取りサービスは、理事長の佐藤和基(佐藤和基税理士事務所)が令和元年7月から開始したサービスで、山林等を専門に扱う不動産会社等と提携して不要な不動産を引き取るサービスです。
※地目は山林以外でも対応可能で、別荘のご依頼も多くいただいています。
また、農地も農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。

山林引き取りサービスの具体的な内容について説明します。

〇申込ができる人
相続土地国庫帰属制度は相続等により土地を取得した人か共有者の中に相続等により土地を取得した人がいる場合でないと申請できません。
山林引き取りサービスは、取得原因を問わずに申込可能です。
相続又は遺贈だけでなく、原野商法で騙されてしまった方、売買、贈与などにより取得した方、個人か法人かを問わずご利用いただけます。
また、申込は基本的には不動産の所有者ですが、ご家族の方やご相談を受けている士業、不動産会社の方による代理でのお申込みも可能です。

〇申込先
山林引き取りサービスのお申込みは、まずはお問合せフォームからお問合せください。
※一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所のどちらからお問合せいただいても対応可能です。
お問合せをいただいた方にメール添付にて、申込書を送付しますので、申込書と必要資料(固定資産税の課税明細書など)をメール、郵送、FAXなどでお送りいただけましたら、引き取り費用のお見積りをします。
なお、事務負担の関係で郵送等で提出していただく場合は、資料の返却を行っておりません。
そのため、郵送等の場合はコピーでの提出をお願いします。

相続土地国庫帰属制度は、引取の審査に半年から1年かかる見込みですが、山林引き取りサービスのお見積りは1カ月程度で可能です。
※お急ぎの方は最短で翌日から1週間以内にお見積りを提示可能です。(お急ぎの場合は複数社での相見積りができないため、他社との比較ができない点はご了承ください。)

〇手数料について
相続土地国庫帰属制度は申請時に審査手数料が1筆当たり14,000円かかりますが、山林引き取りサービスはお見積りまでは無料となります。
引取可能な場合には、引取費用が発生します。
※基本的には引取費用をお支払いいただくサービスですが、物件によっては無償又はプラスでの売買が可能なケースもあります。

〇引き取り可能な土地
基本的には地目を問わず、すべての不動産について引き取り可能です。
農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
お見積りの結果、予算を超えてしまうなどの理由で山林引き取りサービスを利用されない方もいますが、お見積りまでは無料のため、お見積りの結果、山林引き取りサービスの利用をしない方には費用は発生しません。

不要な不動産の処分でお困りの方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
※相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

相続土地国庫帰属制度と山林引き取りサービスの違いを比較すると下記の通りとなります。

 
  山林引き取りサービス 相続土地国庫帰属制度
利用できる人 個人法人問わず誰でも可 相続等で取得した人のみ
共有の場合 1人だけでも可 共有者全員でないと不可
審査手数料 無料 発生する
負担金 無料又は発生する 発生する
引き取りできない土地 農地以外はなし※1 10項目ある
承認の取消し(契約不適合責任) 基本的になし※2

ある

審査期間 1ヶ月~2ヶ月 半年~1年の見込み

※1.農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
農地転用できない場合、提携先に農地所有適格法人がありますので、条件があえば引き取り可能なケースもあります。
※2.山林引き取りサービスの提携先は基本的には不動産会社であり、引き取るリスクを承知での契約となるため、基本的には契約不適合責任は発生しませんが、一部不動産会社以外が引き取り主となるケースもあるため、契約時にご確認ください。

6.山林引き取りサービスの引き取り後の活用例

山林引き取りサービスをご利用いただく不動産は、売買や寄付ができずに手放せない物件となりますので、一般的には活用が困難であるケースが大半です。
そのため、引き取り後に長期保有となってしまうことが多いですが、活用できるケースでは下記のようなものがありました。
〇キャンプ場やサバゲーとして利用
〇別荘地として利用
〇キノコの栽培目的で利用
〇植木屋が植木を育てるために利用
〇林業として利用
〇猟師が狩猟目的で利用
〇自然保護活動をしている団体が自然を再生すために利用
〇太陽光発電設備の設置のために利用(農業を継続できる営農型太陽光発電など)

7.山林・原野・別荘地・農地を手放す相談

不要な不動産の処分でお困りの方は、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
山林引き取りサービスは審査手数料等が発生しませんし、お見積りまでは無料となりますので、気軽にご相談できます。
また、相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

8.不動産業界にお勧めの資格

不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。

不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。

多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。

相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

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相続税の教科書(応用編)

  • 第1章.土地評価
  • 第2章.相続税還付
  • 第3章.生命保険
  • 第4章.相続手続
  • 第5章.生前対策
  • 第6章.相続と相続税
  • 第7章.山林等の処分
  • 第8章.相続の統計情報