コインパーキング経営|相続税対策としての活用

 

1.一括借上方式について

一括借上方式のコインパーキング経営の特徴としては、初期投資が0円又は低予算で開始することができます。
コインパーキング専門会社に土地を貸して、コインパーキング専門会社がコインパーキング経営をするため、ご自身で管理、経営をする必要がありません。
また、一括借上げのため、毎月の賃料も定額設定となり安定した収入を得ることができます。

メリットをまとめると下記の通りです。
〇初期投資が0円又は低予算
〇管理、経営の手間がかからない
〇毎月安定した収入を得ることができる(月極より高収益になる可能性が高い)
〇パーキング利用数や収益が低い月でも毎月の賃料収入は固定で下がらない

 逆に他の経営方法と比較してデメリットは下記の通りです。
〇パーキング利用数や収益が高い月があっても毎月の賃料収入は固定で反映されない

2.月極駐車場とコインパーキング

駐車場経営にはコインパーキング以外にも月極駐車場があります。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
月極駐車場は契約台数×賃料が月の収入となります。
そのため、契約で埋まっている場合は収入も高くなりますが、空きが出てしまうとその分、収入が減ってしまいます。

コインパーキングは利用件数×時間単価が月の収入となります。
そのため、1カ月まるまる空いてしまうということはなく、収入がゼロになりにくいのが特徴です。
あとは立地条件による向き不向きもあります。
例えば近所に満車のコインパーキングがある場合にはコインパーキングに向いている可能性が高いです。
詳しくはコインパーキング専門会社に調査等を依頼するのが良いと思います。

コインパーキング専門会社にもよりますが、月極駐車場のうち、空き部分のみコインパーキングとして活用するなど、部分的に活用することも可能な場合があります。

3.コインパーキングの節税効果

不動産を活用した節税方法としては、アパート建築等が主流になると思います。
アパートを建築して賃貸した場合、土地の評価額は貸家建付地になるため、更地(自用地)と比較すると20%前後評価額が下がります。
借地権割合によって変わりますが、住宅街の場合は借地権割合が60%程度のため、借地権割合が60%の場合は借地権割合60%×借家権割合30%=18%が貸家建付地として評価減できます。
また、家屋に関しては賃貸の場合、固定資産税評価額から借家権割合30%控除して評価します。
一般的に家屋の固定資産税評価額は時価の60%程度になるため、建築費用に対して賃貸物件の評価額が半分以下になり、相続税の節税効果も大きくなります。
また、賃貸物件については、小規模宅地等の特例として200㎡まで50%減額できます。
他に小規模宅地等の特例を適用する宅地がない場合や、評価額の低い宅地しかない場合は、小規模宅地等の特例による減額の節税効果もあります。

これに対して、コインパーキング(一括借上方式の場合)は、土地の評価額は自用地のままであるため、アパート建築のような大きな節税にはなりにくいです。
ただし、一括借上方式は賃借人側が駐車場設備を造るため、賃借権の控除は可能です。
賃借権の控除は例えば賃借期間が5年以下の場合は2.5%の評価減となります。
アパート建築と比較すると、節税効果はかなり低くなります。 

なお、砂利敷きの青空駐車場の場合は小規模宅地等の特例を適用できせんが、アスファルト舗装をするなど、「構築物の敷地の用」に該当する場合は、小規模宅地等の特例として200㎡まで50%評価減が適用できます。
アパート建築と同様に他に小規模宅地等の特例を適用する宅地がない場合や、評価額の低い宅地しかない場合は、小規模宅地等の特例による減額の節税効果があります。

基本的には月極駐車場よりもコインパーキングの方が節税効果はありますが、中には例外もあります。
例えば、月極駐車場が賃貸アパートに隣接しており、賃貸アパートの入居者専用駐車場として利用している場合です。
この場合、月極駐車場も賃貸アパートと一体評価で貸家建付地評価が可能です。
そのため、コインパーキングに変更して、入居者専用駐車場ではなくなってしまうと、賃借権の控除しかできなくなり、貸家建付地評価よりも大幅に評価額が上がってしまいます。
詳しくは相続税専門の税理士に確認することをお勧めします。

 まとめるとコインパーキングの活用による節税効果はアパート建築等と比較すると効果は低いですが、更地や月極駐車場(砂利敷き)と比較すると基本的には節税効果があります。

4.コインパーキングの活用例

コインパーキングを活用する例をいくつかご紹介します。

①遊休地の活用

遊休地や月極駐車場のうち空いている一部をコインパーキングとして活用することで、収益を得ることができます。
なお、月極駐車場よりもコインパーキングの方が収益がアップする場合は、全てをコインパーキングに変更するか検討しても良いと思います。
アパート建築等と比較すると収益や節税効果は低いですが、手軽に開始することができるため、リスクを負わずに手軽に土地を活用したい方にお勧めです。
また、狭い土地や不整形な土地で他に活用できない場合もコインパーキングとして活用できる余地があります。

②売却予定地の売却までの短期間の活用

売却予定の土地について、すぐに買主が見つからないケースもあります。
その場合は、売却するまでの間、何も収益を生まないことになります。
コインパーキングは、コインパーキング専門会社にもよりますが、6カ月ほどの短期間でも契約可能な会社もあります。
短期間契約の場合は、駐車場設備も簡易なものにするなどで、わずかな期間でも収益化が可能です。
ただし、売却予定地が相続した物件の場合は、小規模宅地等の特例の適用要件などに注意をする必要があります。
例えば居住用の場合には申告期限まで引き続き居住する要件などがありますし、賃貸物件の場合には申告期限まで引き続き賃貸をする要件などがあります。そのため、申告期限前にコインパーキングに変更してしまうと要件を満たさなくなり、税負担が大きくなるケースもあります。

5.専門家への相談

コインパーキングの活用について相談したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。
コインパーキングを活用するご相談については、コインパーキング専門会社のご紹介が可能です。
コインパーキングの活用以外についても、相続に関する相談をお受けしています。

また、納税者に損をさせない申告を信念に、これから相続税申告業務に参入される税理士向けに相続税実務研修(通信講座Web視聴)を販売しております。
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