農地の固定資産税と相続税の計算方法|税金について解説

農地を所有していると毎年固定資産税が発生します。
また、農地を所有している方が亡くなると相続税の問題も発生します。
ここでは、農地に課税される固定資産税と相続税について解説すると共に、固定資産税と相続税の節税をする方法も解説します。

1.農地にかかる固定資産税

固定資産税は毎年1月1日時点で土地や家屋などの不動産を所有している方が支払う税金です。
農地も同様に1月1日時点で所有している場合には、固定資産税がかかります。
※固定資産税の納税義務者は1月1日時点での所有者となるため、年の途中で売却をした場合でも固定資産税を納税するのは1月1日時点での所有者となります。
そのため、固定資産税の清算は売買契約の当事者間で行うことになります。

なお、固定資産税の課税は登記地目ではなく、現況の地目に基づいて課税されます。
そのため、登記地目が農地であったとしても、その土地に家を建てている場合には、現況の地目は宅地となりますので、固定資産税評価額も農地ではなく、宅地として評価されます。

固定資産税の納付書は5月前後(地域によって多少異なります)に市区町村役場から届きますので、納付書に記載されている期限までに納める必要があります。
納期限は4期分に分かれていますので、4期で分割して納めるか、一括で納めることもできます。
なお、固定資産税の支払いは銀行引き落としにすることが可能です。
また、農地を共有している場合は共有者全員に納税義務がありますが、固定資産税の納付書は代表者に送付されます。

2.農地の固定資産税の計算

農地の固定資産税は下記の計算式で計算します。

【算式】

農地の固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%

例えば所有している農地の固定資産税評価額が100万円の場合には100万円×1.4%で14,000円の固定資産税を毎年納める必要があります。

一般的には固定資産税評価額は公示価格の70%を目安に評価されます。
公示価格とは、国土交通省が調査、公表している全国の適正な土地価格のことです。
評価の基準日は1月1日で毎年3月中旬から下旬に公表されます。

一般的に農地の評価額は宅地よりも低いですが、市街化区域にある農地の場合は、宅地並みの評価と課税がされるケースもあります。
ただし、市街化区域にある農地でも生産緑地に該当する場合には農地並みの低い課税となるため、負担は100分の1程度となります。
※生産緑地とは500㎡以上(条例により300㎡以上に引き下げ可能)で、30年以上継続的に農地として維持管理する義務を負うなど、様々な要件があります。

また、固定資産税評価額が30万円以下であれば、固定資産税は免除されます。
そのため、所有している不動産が農地だけの場合には固定資産税が免除されているケースもあります。

なお、固定資産税評価額は3年に一度見直しがあります。
固定資産税評価額が免税点の30万円前後の方ですと、以前は固定資産税が発生していたものの、固定資産税評価額の見直しにより30万円以下となり、途中から固定資産税がかからなくなった方も多いと思います。

 

3.農地にかかる相続税

相続が発生して、亡くなった方の財産が基礎控除額を超える場合には相続税が発生します。
相続税の基礎控除について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

相続税の基礎控除額の計算方法|いくらまで無税になるのかはこちら

相続税の計算に含まれる財産には農地も含まれます。
農地については、相続税の評価上、宅地転用許可等に基づく転用の難易度に応じて純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地の4種類に区分されます。

①純農地
純農地とは次に掲げる農地をいいます。ただし、市街地農地の範囲に該当するものは除きます。
⑴農用地区域内にある農地
⑵市街化調整区域内にある農地のうち第1種農地又は甲種農地に該当するもの
⑶上記⑴及び⑵に該当する農地以外の農地のうち、第1種農地に該当するもの。ただし、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地又は第3種農地に準ずる農地と認められるものを除く。

②中間農地とは次に掲げる農地をいいます。ただし、市街地農地の範囲に該当するものを除きます。
⑴第2種農地に該当するもの
⑵上記⑴に該当する農地以外の農地のうち、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地に準ずる農地と認められるもの

③市街地周辺農地
市街地周辺農地とは次に掲げる農地をいいます。ただし、市街地農地の範囲に該当するものを除きます。
⑴第3種農地に該当するもの
⑵上記⑴に該当する農地以外の農地のうち、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第3種農地に準ずる農地と認められるもの

④市街地農地
市街地農地とは次に掲げる農地をいいます。
⑴農地法第4条又は第5条に規定する転用許可を受けた農地
⑵市街化区域内にある農地
⑶転用許可を要しない農地として都道府県知事の指定を受けたもの

純農地と中間農地については、倍率方式のため下記の計算式で計算します。

【算式】

固定資産税評価額×評価倍率

評価倍率は国税庁のホームページで評価対象地の所在する地域を探します。

国税庁の評価倍率についてはこちら

市街地農地については、倍率方式又は路線価方式のいずれに該当するかを確認して、宅地比準方式で評価します。
宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる造成費相当額を控除して評価します。
なお、経済合理性等の観点から宅地への転用が見込めない場合は、純農地の価額に比準して評価します。

市街地農地の宅地比準方式で評価する場合の計算式は下記の通りです。

【算式】

(その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額-1㎡当たりの宅地造成費)×地積

市街地周辺農地については、その農地が市街地農地であるものとして評価した価額の80%相当額で評価します。

市街地周辺農地を評価する場合の計算式は下記の通りです。

【算式】

市街地農地の評価額×80%

なお、農業を引き継ぐ等の一定の要件を満たす場合には、農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例を適用することもできます。

4.農地にかかる税金を節税する方法

所有している農地が純農地などであれば、固定資産税は免税点の30万円以下であったり、相続税評価額も低いため税金の負担は少ないと思いますが、市街地農地や市街地周辺農地の場合には、毎年の固定資産税の負担と相続税評価額も高くなってしまい、多額の相続税が課税されてしまうケースもあります。

農地にかかる税金の負担をなくすには、農地を売却するか寄付をするなどして手放すのが良いでしょう。
ただし、農地は農業の担い手が減っており、活用することも難しく買い手を見つけるのが困難です。
不動産会社に相談をしても積極的に取り組んでくれるところは少なく、年単位で解決できない方も多いと思います。
また、寄付についても売却と同様に農地の活用が難しく市区町村などの自治体に相談をしても寄付を受け付けてもらえないケースが多くあります。

農地の売却も寄付もできない場合には、相続土地国庫帰属制度の活用又は山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

5.相続土地国庫帰属制度の活用

相続土地国庫帰属制度は、相続等により取得した不要な土地で、一定の要件を満たす場合には国に引き取ってもらえる制度となります。
相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

相続土地国庫帰属制度の要件|山林や農地の適用可否

相続土地国庫帰属制度は要件を満たす場合には、審査手数料と負担金の費用が発生しますが、国に引き取ってもらうことで、山林にかかる税金の負担などから解放されます。
ただし、引き取りの条件が厳しく残念ながら活用できないケースも一定数生じてしまいます。
そのような方には一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所が提供している山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

6.山林引き取りサービスの活用

山林引き取りサービスは、理事長の佐藤和基(佐藤和基税理士事務所)が令和元年7月から開始したサービスで、山林等を専門に扱う不動産会社等と提携して不要な不動産を引き取るサービスです。
※地目は山林以外でも対応可能です。(一部の農地は引き取りできないケースもあります)
山林引き取りサービスについて詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

山林引き取りサービス|売れない山林を手放すことができる 

山林引き取りサービスは相続土地国庫帰属制度の審査手数料のようなものは発生しませんので、引き取り費用のお見積りまでは無料となります。
基本的には引き取り費用が発生するサービスですが、無料引き取りできるケースもあります。

不要な不動産の処分でお困りの方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
※相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

相続土地国庫帰属制度と山林引き取りサービスの違いを比較すると下記の通りとなります。

 
  山林引き取りサービス 相続土地国庫帰属制度
利用できる人 個人法人問わず誰でも可 相続等で取得した人のみ
共有の場合 1人だけでも可 共有者全員でないと不可
審査手数料 無料 発生する
負担金 無料又は発生する 発生する
引き取りできない土地 農地以外はなし※1 10項目ある
承認の取消し(契約不適合責任) 基本的になし※2

ある

審査期間 1ヶ月~2ヶ月 半年~1年の見込み

※1.農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
※2.山林引き取りサービスの提携先は基本的には不動産会社であり、引き取るリスクを承知での契約となるため、基本的には契約不適合責任は発生しませんが、一部不動産会社以外が引き取り主となるケースもあるため、契約時にご確認ください。

7.山林引き取りサービスの引き取り後の活用例

山林引き取りサービスをご利用いただく不動産は、売買や寄付ができずに手放せない物件となりますので、一般的には活用が困難であるケースが大半です。
そのため、引き取り後に長期保有となってしまうことが多いですが、活用できるケースでは下記のようなものがありました。
〇キャンプ場やサバゲーとして利用
〇別荘地として利用
〇キノコの栽培目的で利用
〇植木屋が植木を育てるために利用
〇林業として利用
〇猟師が狩猟目的で利用
〇自然保護活動をしている団体が自然を再生すために利用
〇太陽光発電設備の設置のために利用

8.不動産業界にお勧めの資格

不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。

不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。

多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。

相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

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相続のノウハウ

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