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<目次>
1.個人契約の死亡保険金の課税関係
2.相続税の課税対象
3.死亡保険金と同時に支払われる剰余金等の取り扱い
4.相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い
5.所得税の課税対象
6.贈与税の課税対象
7.個人から個人に契約者変更した場合
8.生命保険金の相談
死亡保険金は、保険料負担者(基本的には契約者)、被保険者、死亡保険金受取人の関係で課税関係が決まります。
具体的には、保険料負担者と被保険者が同一人の場合には相続税が課税されます。保険料負担者と被保険者が異なる場合で、かつ、保険料負担者と受取人が同一人の場合には所得税が課税されます。保険料負担者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合には贈与税が課税されます。
注意すべきこととして、税法では形式的な契約者が誰かではなく、実質的な保険料負担者が誰であったのかという観点から課税関係が決まる点です。
単純に契約者のみで判断をしてしまうと、税務署から思わぬ指摘を受けてしまう可能性があります。例えば、契約者が収入のない子供であったり、専業主婦である場合には、保険料を支払うだけの収入がないと判断される可能性があります。
また、契約者は子供でありながら、保険料の引き落とし口座が親である場合なども、保険料負担者が異なると指摘を受けてしまいます。
保険料負担者と被保険者が同一人の場合には、死亡保険金はみなし相続財産として、相続税の課税対象となります。この場合において、死亡保険金の受取人が相続人の場合には生命保険金等の非課税枠の適用を受けることでできます。
※非課税枠の適用は相続人である必要がありますので、相続放棄をした場合や相続人以外が死亡保険金を受け取る場合は非課税枠を適用することができません。
生命保険金等の非課税枠は下記の算式で計算します。
【算式】
500万円×法定相続人の数
なお、生命保険金等の非課税枠は1人につき500万円までというわけではありません。
例えば、相続人が長男と二男の2人の場合、生命保険金等の非課税枠は1,000万円となります。
仮に1,000万円の生命保険金の受取人が長男で、二男には生命保険金がなかった場合には、長男が受取る生命保険金1,000万円から非課税枠1,000万円を控除することができます。
死亡保険金を受け取る際に、剰余金や保険料の前払分(前納保険料)、入院給付金、遅延利息などが同時に支払われることがあります。
このうち、剰余金や前納保険料は、その保険契約に係る保険金受取人固有の権利、財産として受け取る保険金と何ら性格的に異なるものではないとされますので、死亡保険金とともにみなし相続財産として取り扱うことになります。
そのため、剰余金や前納保険料は死亡保険金と同様に生命保険金等の非課税枠の適用を受けることができます。
被相続人の生前の入院にかかる入院給付金については、本来であればその被相続人に支払われることになっていたものが、受け取る前に死亡したことにより、その相続人が受け取ることになったものとなります。
そのため、入院給付金は受取人(被相続人)固有の財産となり、みなし相続財産とされる死亡保険金ではなく、本来の相続財産として取り扱うことになります。
遅延利息については、保険金の支払いが遅延したことにより支払われる利息となります。この遅延利息は相続財産には含まれません。遅延利息は受け取った相続人等の雑所得として所得税の課税対象となります。
生命保険金は保険契約に基づき、受取人が原始的に取得するものであり、受取人固有の財産となります。
そのため、相続放棄をした場合であっても、受取人固有の財産となる死亡保険金は受け取ることができます。ただし、相続放棄をした場合には、生命保険金等の非課税枠の適用を受けることができません。
保険料負担者と受取人が同一人の場合には、死亡保険金は受取人の一時所得として所得税の課税対象となります。
保険料負担者と被保険者と受取人が異なる場合には、死亡保険金は保険料負担者から受取人への贈与として、贈与税の課税対象となります。
個人から法人、法人から個人と個人と法人間で契約者変更をした場合には、その際に課税関係が発生します。
そのため、個人から個人の個人間でも契約者変更をすることが、節税に有効と勘違いされるケースが非常に多いですが、それは大きな間違いです。
※よくある勘違いは、解約返戻金の低いうちに契約者を変更(贈与)すれば、低い評価額で贈与できて節税になるという主張ですが、税務上は契約者変更をしても全く無意味です。
個人間の契約者変更の場合は、契約者の変更時に課税関係は発生せず、消滅時課税となります。消滅時課税とは、保険金支払事由発生時(保険金受取時)か契約者の死亡時にのみ課税されることです。
つまり、単に個人間で契約者の変更をしても、契約者変更の際には課税関係は発生しません。
そして、死亡保険金の課税関係は、契約者ではなく保険料負担者で判断をしますので、契約者変更後に保険料負担者も変わっている場合には、死亡保険金を保険料の負担額の割合で按分し、その割合に応じて課税関係を判断します。
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