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相続したいらない土地を国が引き取る相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日から開始しましたが、無条件で引き取ってもらえるわけではありません。
承認の対象となる土地の要件があります。
相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
相続土地国庫帰属制度の要件|山林や農地の適用可否
土地の承認申請の却下又は不承認となる項目が10項目あり、そのうちの1つの項目として、「境界が明らかでない土地・その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」があります。
ここでは、境界が明らかでない土地や処分方法について解説します。
境界(所有権の範囲)が明らかな土地とは、以下の①及び②を満たしている土地をいいます。
そのため、測量や境界確認書の提出までは求められません。
①申請者が認識している隣接土地との境界が表示されていること。
既設境界標、地物、地形又は工作物等の存在により境界点を表示することができる場合は、それらを申請者が提出する図面に表示します。
それらが存在しない場合は、申請者が認識する境界を表示するため、申請者が境界点を表示する目印を設置し、申請者が提出する図面に表示し、申請者が認識している隣接土地との境界を表示する必要があります。
具体的には、仮杭等(例えばホームセンター等で市販されている合成樹脂標)を設置します。また、周囲から仮杭等の位置を認識しやすいようにポール、プレート、テープ類を設置します。
②申請者が認識している申請土地の境界について、隣接所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと。
申請後、法務局から隣接する土地の所有者の方へ、境界争いの有無等について確認の連絡をします。
相続土地国庫帰属制度の承認申請には、下記の必須書面を添付する必要があります。
【必須書面】
①承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
国土地理院地図、住宅地図等に、申請者が認識している土地の所有権の範囲をマーキングして明示することで作成できます。
また、下記②の境界点を撮影した場所に番号と写真を撮影した向きを矢印で示します。
②承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
上記①の図面に、撮影した各境界点の場所を記入し、撮影した写真がどの境界点を示しているか、法務局が理解できるようにします。
また、境界点(矢印で示す)を起点として、認識している境界点及び境界線をマーカーで示します。
③承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
近景、遠景の写真など、土地の状況(建物や工作物の有無など)が分かる最新の写真を複数枚準備します。
近景の写真で土地の上の有体物等を確認し、遠景の写真で土地の全体を把握します。
森林などの場合は、インターネット上の航空写真などに申請に係る土地の範囲をマーカーで示して添付することも可能です。
④申請者の印鑑証明書
上記の必須書面の他には、下記の任意書面も添付することができます。
任意書面は必須ではありませんが、審査を円滑にしてもらうためにもできる限り提出した方が良いと思います。
【任意書面】
①固定資産税評価額証明書
土地の使用状況(種目)を確認する際に参考となります。
②承認愼伊勢土地の境界等に関する資料
境界確認書や過去に作成された図面等は所有権の範囲を判断する際の参考となります。
相続土地国庫帰属制度が求める境界の要件は、測量や境界確認書の提出までは求められないですが、相続等により取得している場合には、現地に行ったこともない方も多いと思いますし、調査の手間暇が大きな負担になってくる方も多いと思います。
他にも境界で争いがあるなど、相続土地国庫帰属制度が利用できないケースもあります。
境界が明らかでない土地や境界を明らかにすることが難しい土地を処分したい方には、山林引き取りサービスの活用をお勧めします。
山林引き取りサービスは、理事長の佐藤和基(佐藤和基税理士事務所)が令和元年7月から開始したサービスで、山林等を専門に扱う不動産会社等と提携して不要な不動産を引き取るサービスです。
※地目は山林以外でも対応可能で、原野、農地、雑種地、別荘地なども引き取っています。
一部の農地は引き取りできないケースもあります。
山林引き取りサービスの具体的な内容について説明します。
〇申込ができる人
相続土地国庫帰属制度は相続等により土地を取得した人か共有者の中に相続等により土地を取得した人がいる場合でないと申請できません。
山林引き取りサービスは、取得原因を問わずに申込可能です。
相続又は遺贈だけでなく、原野商法で騙されてしまった方、売買、贈与などにより取得した方、個人か法人かを問わずご利用いただけます。
また、申込は基本的には不動産の所有者ですが、ご家族の方やご相談を受けている士業、不動産会社の方による代理でのお申込みも可能です。
〇申込先
山林引き取りサービスのお申込みは、まずはお問合せフォームからお問合せください。
※一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所のどちらからお問合せいただいても対応可能です。
お問合せをいただいた方にメール添付にて、申込書を送付しますので、申込書と必要資料(固定資産税の課税明細書など)をメール、郵送、FAXなどでお送りいただけましたら、引き取り費用のお見積りをします。
なお、事務負担の関係で郵送等で提出していただく場合は、資料の返却を行っておりません。
そのため、郵送等の場合はコピーでの提出をお願いします。
相続土地国庫帰属制度は、引取の審査に半年から1年かかる見込みですが、山林引き取りサービスのお見積りは1カ月程度で可能です。
※お急ぎの方は最短で翌日から1週間以内にお見積りを提示可能です。(お急ぎの場合は複数社での相見積りができないため、他社との比較ができない点はご了承ください。)
〇手数料について
相続土地国庫帰属制度は申請時に審査手数料が1筆当たり14,000円かかりますが、山林引き取りサービスはお見積りまでは無料となります。
引取可能な場合には、引取費用が発生します。
※基本的には引取費用をお支払いいただくサービスですが、物件によっては無償又はプラスでの売買が可能なケースもあります。
〇引き取り可能な土地
基本的には地目を問わず、すべての不動産について引き取り可能です。
農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
お見積りの結果、予算を超えてしまうなどの理由で山林引き取りサービスを利用されない方もいますが、お見積りまでは無料のため、お見積りの結果、山林引き取りサービスの利用をしない方には費用は発生しません。
境界が不明な土地についても調査しますので、不要な不動産の処分でお困りの方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
※相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。
相続土地国庫帰属制度と山林引き取りサービスの違いを比較すると下記の通りとなります。
山林引き取りサービス | 相続土地国庫帰属制度 | |
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利用できる人 | 個人法人問わず誰でも可 | 相続等で取得した人のみ |
共有の場合 | 1人だけでも可 | 共有者全員でないと不可 |
審査手数料 | 無料 | 発生する |
負担金 | 無料又は発生する | 発生する |
引き取りできない土地 | 農地以外はなし※1 | 10項目ある |
承認の取消し(契約不適合責任) | 基本的になし※2 | ある |
審査期間 | 1ヶ月~2ヶ月 | 半年~1年の見込み |
※1.農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
農地転用できない場合、提携先に農地所有適格法人がありますので、条件があえば引き取り可能なケースもあります。
※2.山林引き取りサービスの提携先は基本的には不動産会社であり、引き取るリスクを承知での契約となるため、基本的には契約不適合責任は発生しませんが、一部不動産会社以外が引き取り主となるケースもあるため、契約時にご確認ください。
山林引き取りサービスをご利用いただく不動産は、売買や寄付ができずに手放せない物件となりますので、一般的には活用が困難であるケースが大半です。
そのため、引き取り後に長期保有となってしまうことが多いですが、活用できるケースでは下記のようなものがありました。
〇キャンプ場やサバゲーとして利用
〇別荘地として利用
〇キノコの栽培目的で利用
〇植木屋が植木を育てるために利用
〇林業として利用
〇猟師が狩猟目的で利用
〇自然保護活動をしている団体が自然を再生すために利用
〇太陽光発電設備の設置のために利用(農業を継続できる営農型太陽光発電など)
不要な不動産の処分でお困りの方は、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
山林引き取りサービスは審査手数料等が発生しませんし、お見積りまでは無料となりますので、気軽にご相談できます。
また、相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。
不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。
不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。
多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。
相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。