相続登記の義務化相続土地国庫帰属制度等の活用

土地の所有者が死亡しても相続登記がされないこと等があり、所有者不明土地が増加しています。

所有者不明土地問題研究会の最終報告概要によると、所有者不明土地の増加防止に係る新たな取組が進まない場合、所有者不明土地は着実に増加し、2040年には約720万haになると予測されています。
また、所有者不明土地の経済損失は2017年から2040年までの累積で約6兆円にのぼる見込みのようです。

大きな面積の土地の利用が阻害されるなどの問題が生じているため、相続登記の義務化や相続人申告登記の創設等、相続が開始した事実等を登記簿等に反映させるための改正が行われました。
この改正は一部を除き令和6年4月1日に施工されます。

1.相続登記の義務化

不動産登記法は、下記の2つの制度を設けています。
〇権利に関する登記
〇表示に関する登記

権利に関する登記は、不動産についての権利変動を公示する制度です。
表示に関する登記は、権利の客体である不動産の物理的状況を公示する制度です。

なお、相続登記などの権利に関する登記については、当事者に公法上の登記申請義務を負わせていませんでしたが、所有者不明土地が発生する最大の原因として、相続登記が未了であることが指摘されていました。
そこでこの「所有者不明土地問題」を防ぐための法律が令和3年4月に成立し、相続登記が義務化されました。

2.相続登記の申請期間

相続又は遺贈により不動産を取得した者は、相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権移転登記を申請しなければなりません。
また、相続登記の申請については、制度の開始する令和6年4月1日から3年間の猶予期間があります。

3.罰則規定

相続登記の義務化に伴い、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしない場合には、10万円以下の過料が科されます。

4.相続人申告登記の新設

相続登記の義務化に伴い、相続登記の申請義務を負う者が登記官に対して、相続が開始した旨及び自らがその所有権の登記名義人の相続人であることを申し出ることで、その申し出をした者は相続登記の義務を履行したものとみなされる制度です。

相続人申告登記は、所有権の移転登記ではなく、相続開始と自らが相続人であるという事実についての報告的な登記として位置付けられています。
つまり予備的になされる登記という位置付けのため、相続人が第三者に売却する場合などは、別途相続登記が必要になります。
なお、相続人申告登記の申出をした相続人は、その後遺産分割によって所有権を取得したときは、遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記をしなければなりません。

5.住所変更等の登記の義務化

所有者不明土地の発生を抑制する観点から、所有権の登記名義人の登記上の氏名・住所に変更があった場合、その変更の日から2年以内に変更登記をする義務が課されました。
なお、正当な理由がないのに、申請を怠った場合には、5万円以下の過料が科されます。

6.相続土地国庫帰属制度の活用

相続登記が義務化される前は、山林、原野、別荘地などの不要な不動産について、相続登記をせずに放置されてしまうケースが多く、所有者不明土地が増加していました。
今後は相続登記が義務化されることから、不要な不動産を放置することもできなくなるため、処分方法について検討が必要になります。

不要な不動産について、相続又は遺贈により取得した相続人が一定の要件を満たす場合には、土地を手放して国庫に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
この制度は令和5年4月27日から開始されます。
相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

7.相続土地国庫帰属制度が利用できない場合の山林引き取りサービスの活用

売買や寄付が出来ずに相続土地国庫帰属制度を利用しようと検討した結果、残念ながら要件を満たさずに利用できないケースがあると思います。
相続土地国庫帰属制度が利用できずお困りの場合は、一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
理事長の佐藤和基が代表を務める佐藤和基税理士事務所では、提携している不動産会社等と連携して山林引き取りサービスを実施しています。
※地目は山林以外も引き取り可能です。

 山林引き取りサービスは、農地以外は基本的にどのような物件も引き取り可能です。
※農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。

8.専門家への相談

 不要な不動産の処分でお困りの方は、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
山林引き取りサービスは審査手数料等が発生しませんし、お見積りまでは無料となりますので、気軽にご相談できます。
また、相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

9.不動産業界にお勧めの資格

不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。

不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。

多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。

相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

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