山林売却のポイントと注意点|山林売買の必要な手続き

山林を所有していると毎年固定資産税が発生しますし、山林を所有している方が亡くなると相続税も課税されてしまいます。
また、物件によっては管理費用の負担や定期的に伐採費用等の負担が発生しているケースもあります。
そのため、税金等の費用の負担を減らすため山林の売却を検討したものの、買い手が見つからず困ってしまう方が多いと思います。
ここでは、山林売却のポイントと注意点について解説します。

1.山林の売却は難しい

山林の売却を検討する場合は、まずは不動産会社に査定を依頼することになると思います。
ただし、山林は活用方法が限定され、買いたいと思う方は少数です。
そのため、一般的な不動産会社は山林の売買に積極的に取り組んでもらえません。
それでも山林の売却で相談をするのであれば、所有している山林の近隣の不動産会社は、付近の山林の売買を扱っている可能性があります。

仮に山林の売却の相談に乗ってもらえたとしても、山林の購入希望者は少ないため、売れるまでに数年はかかると見越した方が良いでしょう。

2.山林の売却にかかる制限

山林の売買は、特に法律上の制限はありません。
仮に保安林であったとしても売買は可能です。

だたし、保安林は水源の涵養機能の維持や土砂災害等防止など特定の公益目的を達成するために、農林水産省又は都道府県知事が指定した森林となるため、立木の伐採制限、土地形質の変更制限があります。
保安林は活用に制限があるため、買い手を見つけるのが困難だと思いますが、法的には売買は自由にできます。

3.仲介手数料の定めがない

山林の売却は宅地建物取引業法の規制の対象になりませんので、仲介手数料の制限もないことになります。そのため、山林売却の仲介手数料は自由に設定することができます。
一般的には山林売却も宅地同様に宅地建物取引業法の規定に準ずることが多いようです。
宅地建物取引業法の仲介手数料は下記の通りです。

売買金額 仲介手数料の上限
200万円 売買金額の5%
200万円超 400万円以下 売買金額の4%+2万円
400万円超 売買金額の3%+6万円

※別途消費税がかかります。

なお、売主からの仲介手数料については、売買金額400万円以下の仲介手数料の上限は18万円+消費税となる特例があります。
山林の売買は少額なケースが多いため、例えば売買金額が10万円の場合は仲介手数料が18万円+消費税で差引の手取り額がマイナスになるケースもあります。
不動産会社によっては、山林の調査の負担の大きさに応じて仲介手数料が18万円+消費税よりも高いところもあります。

山林売却の仲介手数料は法律上の決まりがないため、あらかじめ確認することをお勧めします。

4.山林売却の際に必要な資料

不動産会社に山林売却の相談をする際には、下記の資料を用意しておくと手続きがスムーズになると思います。

①固定資産税の課税明細書
毎年1月1日時点の不動産の所有者には、5月前後に市区町村役場から固定資産税の納税通知書と共に課税明細書が送られてきます。
固定資産税の課税明細書には、所有している不動産の所在地番、評価額、地積、固定資産税等の情報が記載されていますので、査定額を計算するために必要です。
ただし、山林は評価額が低く固定資産税が課税されていないケースもあります。
その場合には市区町村役場で名寄帳を発行してもらいます。
名寄帳は固定資産税の課税明細書とほぼ同じ内容が記載されています。

②登記事項証明書
登記事項証明書は法務局で取得することができる書類で、土地の地番、地目、地積、所有者の情報などが詳しく書かれている資料です。
なお、登記情報は現在コンピュータ化していますが、コンピュータ化する前は紙の登記簿に記載されている事項を複写して交付しており、その複写した書類を登記簿謄本と呼んでいました。
そのため、今でも慣習的に登記事項証明書のことを登記簿謄本と呼ぶ場合があります。

③公図、地積測量図
公図は法務局で取得することができる書類で、土地の区画・地番を示した図面です。
公図を確認することで山林の形と場所がどこなのか把握することができます。
※山林の場合は、公図だけでは場所の特定が困難なケースも多いですが、参考資料になります。
地積測量図も法務局で取得することができる書類で、土地に関する測量の結果を明らかにした図面です。
公図よりも正確に土地の形状や地積が把握できます。
ただし、山林の場合は測量していないケースも多いため地積測量図がないケースも多くあります。

④森林簿、森林計画図
森林簿は自治体から交付を受けることができる書類で、森林簿は森林の所在、森林の所有者、森林面積及び樹齢や材積等の森林資源情報を取りまとめた帳簿です。
森林計画図は、地域森林計画の対象となる森林を、樹種や所有形態等で区分けした図面です。

⑤その他写真など参考になる資料
上記①から④以外にも参考になる写真や過去の契約書等、取得の経緯等がわかるものがあると参考になります。

5.山林の売却にかかる税金

山林を売却して利益が出た場合には譲渡所得又は山林所得として、所得税と住民税が課税されます。
分かりやすく区分すると山林の土地部分の譲渡は譲渡所得で、山林を伐採して譲渡したり立木のままで譲渡する場合は山林所得となります。
つまり林業を行っていなければ基本的には譲渡所得として計算します。林業を行っている場合は、売買金額を土地部分と立木部分に区分する必要があります。

〇譲渡所得の計算
譲渡所得は下記の算式で計算します。

【算式】

山林の売却で得た収入-(山林の取得費用+山林の売却にかかった費用)

※山林の取得費用が不明な場合は、概算取得費で計算することができます。
 概算取得費は山林の売却で得た収入の5%で計算します。

税金は、譲渡所得に対して税率を乗じて計算します。
※税率は売却した年の1月1日時点において所有期間が5年超の場合(長期譲渡所得)と所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)で異なります。

【算式】

譲渡所得×税率

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

※復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%となります。

〇山林所得の計算
山林所得は下記の算式で計算します。

【算式】

立木等の売却で得た収入-必要経費-特別控除額(最高50万円)

税金は、「5分5乗方式」といわれるもので、下記の算式で計算します。

【算式】

山林所得×5分の1×税率×5

税率は所得金額に応じて5%から45%となっています。
所得税の税率について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

No.2260 所得税の税率|国税庁 

6.山林の売却が困難な場合に手放す方法

所有している山林の立地条件が良く、キャンプ場などで利用できる場合には売却できるケースもありますが、大半の山林は活用することが難しく買い手を見つけるのが困難です。
不動産会社に相談をしても積極的に取り組んでくれるところは少なく、年単位で解決できない方も多いと思います。
売却以外には寄付をする方法も検討の余地がありますが、寄付についても売却と同様に山林の活用が難しく市区町村などの自治体に相談をしても寄付を受け付けてもらえないケースが多くあります。

山林の売却も寄付もできない場合には、相続土地国庫帰属制度の活用又は山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

7.相続土地国庫帰属制度の活用

相続土地国庫帰属制度は、相続等により取得した不要な土地で、一定の要件を満たす場合には国に引き取ってもらえる制度となります。
相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

相続土地国庫帰属制度の要件|山林や農地の適用可否

相続土地国庫帰属制度は要件を満たす場合には、審査手数料と負担金の費用が発生しますが、国に引き取ってもらうことで、山林にかかる税金の負担などから解放されます。
ただし、引き取りの条件が厳しく残念ながら活用できないケースも一定数生じてしまいます。
そのような方には一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所が提供している山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

8.山林引き取りサービスの活用

山林引き取りサービスは、理事長の佐藤和基(佐藤和基税理士事務所)が令和元年7月から開始したサービスで、山林等を専門に扱う不動産会社等と提携して不要な不動産を引き取るサービスです。
※地目は山林以外でも対応可能です。(一部の農地は引き取りできないケースもあります)
山林引き取りサービスについて詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

山林引き取りサービス|売れない山林を手放すことができる 

山林引き取りサービスは相続土地国庫帰属制度の審査手数料のようなものは発生しませんので、引き取り費用のお見積りまでは無料となります。
基本的には引き取り費用が発生するサービスですが、無料引き取りできるケースもあります。

不要な不動産の処分でお困りの方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
※相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

相続土地国庫帰属制度と山林引き取りサービスの違いを比較すると下記の通りとなります。

 
  山林引き取りサービス 相続土地国庫帰属制度
利用できる人 個人法人問わず誰でも可 相続等で取得した人のみ
共有の場合 1人だけでも可 共有者全員でないと不可
審査手数料 無料 発生する
負担金 無料又は発生する 発生する
引き取りできない土地 農地以外はなし※1 10項目ある
承認の取消し(契約不適合責任) 基本的になし※2

ある

審査期間 1ヶ月~2ヶ月 半年~1年の見込み

※1.農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
農地転用できない場合、提携先に農地所有適格法人がありますので、条件があえば引き取り可能なケースもあります。
※2.山林引き取りサービスの提携先は基本的には不動産会社であり、引き取るリスクを承知での契約となるため、基本的には契約不適合責任は発生しませんが、一部不動産会社以外が引き取り主となるケースもあるため、契約時にご確認ください。

9.山林引き取りサービスの引き取り後の活用例

山林引き取りサービスをご利用いただく不動産は、売買や寄付ができずに手放せない物件となりますので、一般的には活用が困難であるケースが大半です。
そのため、引き取り後に長期保有となってしまうことが多いですが、活用できるケースでは下記のようなものがありました。
〇キャンプ場やサバゲーとして利用
〇別荘地として利用
〇キノコの栽培目的で利用
〇植木屋が植木を育てるために利用
〇林業として利用
〇猟師が狩猟目的で利用
〇自然保護活動をしている団体が自然を再生すために利用
〇太陽光発電設備の設置のために利用

10.専門家への相談

不要な不動産の処分でお困りの方は、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
山林引き取りサービスは審査手数料等が発生しませんし、お見積りまでは無料となりますので、気軽にご相談できます。
また、相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

11.不動産業界にお勧めの資格

不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。

不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。

多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。

相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

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