土壌汚染地の相続税評価

1.土壌汚染とは

土壌汚染とは、カドミウム、有機りん、鉛、六価クロム等の特定有害物質が基準値を超えて存在している場合に土壌汚染ありとなります。

土壌汚染地に該当する場合には、評価減ができます。

2.土壌汚染の確認方法

土壌汚染の有無を調査する方法は、下記の通りとなります。

①役所調査

各自治体の環境対策課で土壌汚染関連の条例、要綱や指導指針等に応じた公開情報を確認します。主なものとしては下記の資料となります。

〇「要措置区域台帳」
〇「形質変更時要届出区域台帳」

なお、次のような場合には土壌汚染対策法の調査対象となりませんが、土壌汚染又はそれに類する状況である可能性が高くなります。

・操業中の工場用地
・小規模な工場等であった土地で、使用廃止後は事業者の居住用等に用途転換されている場合
・街中に存するクリーニング店やガソリンスタンドの敷地又はその周辺

②登記簿調査

閉鎖登記簿で確認し、過去の所有者が「〇〇工業」など、建物種別が「工場」であった場合には、土壌汚染の可能性があります。

③地図調査等

過去の住宅地図を確認し、かつては工場等であった場合には土壌汚染の可能性があります。

④所有者及び利用者へのヒアリング

所有者及び利用者へのヒアリングをして確認します。

⑤現地調査

現地調査で注意すべき点は下記のとおりとなります。

不自然な盛土、埋立跡、放置物、焼却施設、油漏れ、臭気、表土の変化、植物の枯死、不自然な窪地、野積みドラム缶、焼却灰の処理跡、拝趨汚染ピット、外部への排水、人工池、排水溝、井戸の配置、地下タンク、危険貯蔵保管庫、化学物質の取扱い、保管庫床面処理等

3.土壌汚染地の評価

土壌汚染地の評価額は下記の算式により評価することになります。

【算式】
土壌汚染地の評価額=汚染がないものとした場合の評価額-①浄化・改善費用に相当する金額-②使用収益制限による減価に相当する金額-③心理的要因による減価に相当する金額

①「浄化・改善費用に相当する金額」は土地の相続税評価額水準の80%との整合性を図るため、浄化・改善費用見積額の80%相当額を控除することになります。

②「使用収益制限による減価に相当する金額」とは、土壌汚染の除去以外の措置を実施した場合に、その措置の機能を維持するための利用制限に伴い生ずる減価をいいます。

③「心理的要因による減価(スティグマ)」とは、土壌汚染の存在(あるいは過去に存在した)に起因する心理的な嫌悪感から生ずる減価要因をいいます。

上記の算式のうち、①「浄化・改善費用に相当する金額」の把握は可能だと思いますが、②「使用収益制限による減価に相当する金額」及び③「心理的要因による減価(スティグマ)」をどのようにみるかは、個別に検討せざるを得ないでしょう。

また、土壌汚染による評価減は、評価対象地の土壌汚染の状況が判明している土地であり、土壌汚染の可能性がある等の潜在的段階では土壌汚染地として評価することはできないとされています。

つまり、土壌汚染の有無を立証する必要があります。

4.相続税還付の相談

土壌汚染地について、土壌汚染地であることによる評価減をせずに高い評価で相続税の申告をしてしまっている場合でも、亡くなってから5年10ヶ月以内であれば申告内容を修正することが可能です。払い過ぎていた分は税務署に返金してもらうことができます。

相続税の金額が適切であったか確認したい方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。理事長の佐藤和基は相続税専門の税理士ですので、相続に関する知識や実績が豊富です。土壌汚染地以外の項目についても適切であったか、相続税申告書の内容を無料で診断します。

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5.土壌汚染地の評価根拠

土壌汚染地の評価方法は財産評価基本通達では定められていません。

評価根拠は「土壌汚染地の評価等の考え方について(情報)」(平成16年7月5日付国税庁課税部資産評価企画官情報第3号・国税庁課税部資産課税課情報第13号)になります。

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相続税の教科書(応用編)

  • 第1章.土地評価
  • 第2章.相続税還付
  • 第3章.生命保険
  • 第4章.相続手続
  • 第5章.生前対策
  • 第6章.相続と相続税
  • 第7章.山林等の処分
  • 第8章.相続の統計情報