相続土地国庫帰属制度|原野商法で買った土地の適用可否を解説

原野商法とは価値のない山林や原野を言葉巧みに「開発計画があるのでこの土地は値上がりする」などと虚偽の説明を行い売りつける悪徳商法のことをいいます。
1960年代から1980年代が全盛期で被害も多発しました。
2010年代以降は、原野商法の被害者を狙った二次被害が急増しています。

ここでは、原野商法で騙されて買った山林や原野に相続土地国庫帰属制度が利用できるのか解説します。

1.相続土地国庫帰属制度の申請ができる人

相続土地国庫帰属制度は、相続又は遺贈により土地を取得した人が申請可能です。
そのため、相続等以外の原因(売買等)により自ら土地を取得した方や、法人はこの制度を利用することはできませんので、基本的には原野商法で自ら山林や原野を取得した場合は、申請することはできません。

なお、相続等により共有持分を取得した共有者は、共有者の全員が共同して申請をすることによって、この制度を活用することができます。
つまり、土地の共有持分を売買など、相続等以外の原因により取得した共有者も、相続等により共有持分を取得した共有者がいるときは、共有者の全員が共同して申請をすることによって、この制度を活用することができますので、原野商法で山林や原野を取得した方も共有者に相続が発生した場合には、共有者の相続人と共同して申請することは可能です。

まとめると下記の通りです。
〇単独所有の土地 相続等により取得した人のみが申請可能。
〇共有所有の土地 共有者の中に相続等により取得した人がいる場合は、他の原因により取得した人も共同して申請可能。

相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

2.原野商法の被害者が申請できるケース

原野商法で山林や原野を取得してしまった方は、上記1. 相続土地国庫帰属制度の申請ができる人の通り、基本的には申請をすることはできませんが、原野商法被害者の相続人が相続で取得した場合や、原野商法で取得した土地が共有で、共有者に相続が発生した時に共同で申請をする場合には、申請することができます。

まとめると下記の通りです。
〇原野商法被害者の相続人…相続により土地を取得するため申請可能。
〇共有所有の原野商法被害土地…共有者の中に相続等により取得した人がいる場合は、原野商法で騙されて取得した人も共同して申請可能。

3.原野商法で買った山林や原野を処分する方法

原野商法で買った山林や原野に相続土地国庫帰属制度を利用することができるケースは、上記2. 原野商法の被害者が申請できるケースの通り、限定されてしまいます。

そのため、他の処分する方法としては売買や寄付が考えられます。
ただし、原野商法に使われる土地は活用の難しいものが多く不動産会社も積極的に取り組んでもらえないケースが多いでしょう。
寄付についても売却と同様に活用が難しい場合は、市区町村などの自治体に相談をしても寄付を受け付けてもらえないケースが多くあります。

原野商法で買った山林や原野の売却も寄付もできない場合には、山林引き取りサービスの活用をお勧めします。

4.山林引き取りサービスの活用

山林引き取りサービスは、理事長の佐藤和基(佐藤和基税理士事務所)が令和元年7月から開始したサービスで、山林等を専門に扱う不動産会社等と提携して不要な不動産を引き取るサービスです。
※地目は山林以外でも対応可能で、原野、農地、雑種地、別荘地なども引き取っています。
一部の農地は引き取りできないケースもあります。

山林引き取りサービスの具体的な内容について説明します。

〇申込ができる人
相続土地国庫帰属制度は相続等により土地を取得した人か共有者の中に相続等により土地を取得した人がいる場合でないと申請できません。
山林引き取りサービスは、取得原因を問わずに申込可能です。
相続又は遺贈だけでなく、原野商法で騙されてしまった方、売買、贈与などにより取得した方、個人か法人かを問わずご利用いただけます。
また、申込は基本的には不動産の所有者ですが、ご家族の方やご相談を受けている士業、不動産会社の方による代理でのお申込みも可能です。

〇申込先
山林引き取りサービスのお申込みは、まずはお問合せフォームからお問合せください。
※一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所のどちらからお問合せいただいても対応可能です。
お問合せをいただいた方にメール添付にて、申込書を送付しますので、申込書と必要資料(固定資産税の課税明細書など)をメール、郵送、FAXなどでお送りいただけましたら、引き取り費用のお見積りをします。
なお、事務負担の関係で郵送等で提出していただく場合は、資料の返却を行っておりません。
そのため、郵送等の場合はコピーでの提出をお願いします。

相続土地国庫帰属制度は、引取の審査に半年から1年かかる見込みですが、山林引き取りサービスのお見積りは1カ月程度で可能です。
※お急ぎの方は最短で翌日から1週間以内にお見積りを提示可能です。(お急ぎの場合は複数社での相見積りができないため、他社との比較ができない点はご了承ください。)

〇手数料について
相続土地国庫帰属制度は申請時に審査手数料が1筆当たり14,000円かかりますが、山林引き取りサービスはお見積りまでは無料となります。
引取可能な場合には、引取費用が発生します。
※基本的には引取費用をお支払いいただくサービスですが、物件によっては無償又はプラスでの売買が可能なケースもあります。

〇引き取り可能な土地
基本的には地目を問わず、すべての不動産について引き取り可能です。
農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
お見積りの結果、予算を超えてしまうなどの理由で山林引き取りサービスを利用されない方もいますが、お見積りまでは無料のため、お見積りの結果、山林引き取りサービスの利用をしない方には費用は発生しません。

不要な不動産の処分でお困りの方は一般社団法人相続財産再鑑定協会にご相談ください。
※相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

相続土地国庫帰属制度と山林引き取りサービスの違いを比較すると下記の通りとなります。

 
  山林引き取りサービス 相続土地国庫帰属制度
利用できる人 個人法人問わず誰でも可 相続等で取得した人のみ
共有の場合 1人だけでも可 共有者全員でないと不可
審査手数料 無料 発生する
負担金 無料又は発生する 発生する
引き取りできない土地 農地以外はなし※1 10項目ある
承認の取消し(契約不適合責任) 基本的になし※2

ある

審査期間 1ヶ月~2ヶ月 半年~1年の見込み

※1.農地は農地転用(他の地目に変更)可能な場合に引き取り可能です。
農地転用できない場合、提携先に農地所有適格法人がありますので、条件があえば引き取り可能なケースもあります。
※2.山林引き取りサービスの提携先は基本的には不動産会社であり、引き取るリスクを承知での契約となるため、基本的には契約不適合責任は発生しませんが、一部不動産会社以外が引き取り主となるケースもあるため、契約時にご確認ください。

5.山林引き取りサービスの引き取り後の活用例

山林引き取りサービスをご利用いただく不動産は、売買や寄付ができずに手放せない物件となりますので、一般的には活用が困難であるケースが大半です。
そのため、引き取り後に長期保有となってしまうことが多いですが、活用できるケースでは下記のようなものがありました。
〇キャンプ場やサバゲーとして利用
〇別荘地として利用
〇キノコの栽培目的で利用
〇植木屋が植木を育てるために利用
〇林業として利用
〇猟師が狩猟目的で利用
〇自然保護活動をしている団体が自然を再生すために利用
〇太陽光発電設備の設置のために利用(農業を継続できる営農型太陽光発電など)

6.山林・原野・別荘地・農地を手放す相談

不要な不動産の処分でお困りの方は、一般社団法人相続財産再鑑定協会及び佐藤和基税理士事務所にご相談ください。
山林引き取りサービスは審査手数料等が発生しませんし、お見積りまでは無料となりますので、気軽にご相談できます。
また、相続土地国庫帰属制度の利用と同時並行でのご相談も可能です。

7.不動産業界にお勧めの資格

不動産業界は、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者、商業施設、ビル、マンション等の開発業者、注文住宅等を手がけるハウスメーカー、マンションや一戸建ての販売を手がける住宅販売会社、不動産物件を管理する管理会社など、その業務は多岐にわたります。

不動産業の方には相続土地国庫帰属診断士の資格がお勧めです。

多岐にわたる不動産業の中でも、山林、原野、別荘地、農地などの問題解決は困難なものですし、専門に扱う方は少ないのが実情です。
相続土地国庫帰属診断士は、相続土地国庫帰属制度や山林引き取りサービスの内容を理解して、不要な不動産の処分にお困りの方に対して提案をすることで、問題解決にお役立ちできる可能性があります。
また、不要な不動産の問題解決をすることで、顧客との信頼関係を築くことができ、他の宅地の売買等のご相談を受けるきっかけとなります。

相続土地国庫帰属診断士について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

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相続のノウハウ

  • 第1章.土地評価
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  • 第4章.相続手続・節税
  • 第5章.山林等の処分
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